接合副子による外固定法(coaptation splint)
接合副子は金属、プラスチック、木、厚紙、グラスファイバーなどの板でつくった外固定用具で、軽く、丈夫で、耐久性があり、かさ張らないものがのぞまれます。
金属製の接合副子には、長さを調節できる樋状のMason金属副子(Mason Meat splint)、裏にスポンジラバーを貼ったアルミニウム板Alumafoam fense splintなどがあります。
Mason金属副子は主として犬の中手骨、中足骨、またはそれらより末梢の骨に適用されるもので、下敷を巻いた上から骨折部にあてがい、絆創膏でしっかり装着します。
加熱によって軟化するプラスチック製の細長い板は、肢の輪郭に合わせて造形することができるので、近年はユッカ(Yucca,いとらん)材の代わりに使用されています。
木製の舌圧子(tongue depressor)は、軽量なので、愛玩用小型犬や猫の四肢の骨折に副子として応用されます。下敷をあてた上から、数個の舌圧子を絆創膏と包帯でしっかり止める。
硬化包帯と接合副子は、前肢では肘以下、後肢では膝以下の骨折に、主に適用されます。その他、尾椎の骨折、および時に肋骨の骨折にも応用されます。
硬化包帯または接合副子の装着後は、麻酔の覚醒時に患肢で負重したり、あるいは患畜が慣れない装置をはずそうとすることがあるので、なるべく24時間後にX線検査を行って、整復の状況を再確認するのがよい。
また大動物では、はじめの1~2日間、患畜が肢勢を変えたり、起臥する時に介助することが必要で、さもないと、特に牛の後肢の骨折の場合には、固定包帯がこわれる心配があります。
Thomas副子による外固定法(Thomas splint)
金属棒でつくる動物用のThomas副子は、人用のThomas副子を、Schroederが動物用に改良した変形Thomas副子(modified Thomas splintまたはSchroeder-Thomas splint)です。
元来、Thomas副子は、肢の付根に深くさしこむ輪と、趾端まで伸びた枠とからなる歩行用副子がありますが、Schroederはこれを骨折個所に応じて、犬の四肢の形に合わせて造形することを考案しました。
その結果、関節にかなり強い牽引作用が加わり、ある程度の整復効果があるため、使用法を適切にすれば、骨折片を正確かつ持続的に固定することが可能な、一種の牽引副子(traction splint)として役立ちます。
Thomas副子は、小動物の安定型の骨折の治療に単独で用いられ、また上腕骨と大腿骨の骨折にはギプス包帯が適用しにくいので、Thomas副子が用いられることが少なくない。
骨接合術後の負重の補助にも広く応用されています。
その他、関節の手術後の固定法として、また関節、腱、神経の損傷の治療にも応用されます。大動物でも、骨接合術またはギプス包帯に併用されて、価値が認められています。
このThomas副子を犬に使用する場合には、体格に応じて、直径3mm、5mmまたは10mm、長さ2~3.5mのワイヤーまたはジュラルミンの棒を材料として、肢に合わせて作製する(市販の組み合わせセットもある)。
輪の部分は、肢の付根の外周よりもかなり余裕のある大きさとし、円筒状の木、金属などの型を使って、楕円形につくり、腋下または鼠径部にあたる所には、下敷として綿、フェルト、発泡スチロールなどを巻いて絆創膏で止める。
また肢を挿入するから、輪の下半を内側にまげておく。
輪につづいて肢の前・後面を趾端に至る枠の部分は、万力を使って骨折個所に応じて屈曲させます。後肢では、尾側の棒はまげないことが多い。
動物の趾端が接地しないように、長さに十分の余裕をとってつくる。
この副子を患肢にあてがったならば、輪を腋下または鼠径に深くさしこみ、負重時の姿勢にした趾端を、絆創膏で枠の接地部分にしっかり止める(エーテルで湿らせて十分粘着させる)。
次いで肢の上部を数か所、牽引の方向にしたがって、広幅の絆創膏で枠に固定します。最後に下敷をあて、包帯で肢と枠を適宜に包みます。
大動物ではThomas副子は、ことにポニー、子馬、子牛の橈骨および脛骨の骨折の場合に、骨接合術またはギプス包帯による固定の補助として、しばしば使用されます。
また上腕骨、大腿骨の骨折の骨接合術に併用すると、運動を制限することになって、治癒に役立つことがあります。ただ大動物ではいずれも、この副子のみで固定の目的を達することはできず、また牽引効果も期待できないので、中等度の重さのギプス包帯と軽量のThomas副子の併用がよいとされています。
副子が折れまがることを防ぐため、ギプス包帯を肢の全長にわたって装着し、かつ副子を完全にその中に包み込む必要があります。
また小動物の場合よりも、輪の内側部分(下半)が腋下、鼠径の血管を圧迫して循環障害をおこす危険が大きいので、輪に巻く下敷は厚すぎないように注意します。
また輪の外側部分(上半)で、寛結節、大転子、肩をこすらないように注意する必要があります。さらに後肢では、膝襞と雌の外陰部をこすらないように形をつくる。
しかし、陰嚢または乳房の皮膚を刺激することは避けられません。なお、患肢と健肢の左右の長さを同じにするために、健肢の蹄低に厚い木片またはプラスチック片を装着することがあります。

