家畜の腱炎または屈腱炎の症状
罹患した腱の種類、病変の緩急ならびに範囲などによって、症状はさまざまです。
発炎後、日浅い時期には、一般に病変部は急性炎症を呈し、腫脹・増温・疼痛が見られ、それに伴って患畜は跛行を示します。
腫脹は著明で、散漫性に管部後面の全域におよぶことがあり、あるいは腱の一部、支持靱帯、繋靱帯およびそれの分枝に限局されることもあります。
ただし、発炎後2~3日まではかならずしも明瞭ではありません。触診により腫脹と異常熱感をみ、指圧によって疼痛を証明することができる。
腫脹は初期には軟性ですが、次第に硬固となります。疼痛は初期に特に著しい。
急性腱炎(冷湿布)のはじめには、つねに中等度ないしは重度の支跛を呈する。
駐立時には患肢を前方に軽く提出することが多く、歩行に際しては蹄尖のみを着地し、繋を立て、球節の沈下が不十分で、歩様は強拘です。
本症は突発することが多いが、時には漸進的に発生することもあります。
慢性屈腱炎(温湿布)では、患部の熱感は去り、疼痛が軽減し、跛行も著明ではなくなりますが、腱の腫脹、硬結が残存します。
この腫脹はしばしば、腱を包む腱周膜の肥厚によるもので、限局する。
腫脹が不明瞭な場合には、患肢を挙上し、腕前部をほぼ水平に保持して腱を指圧すれば、圧痛によって患部を判定しうる。
各腱に発生する腫脹の特徴をあげると、次のようです。
(ⅰ)浅屈腱
管部の全長にわたって散漫性の腫脹を示し、あるいは腱の中部、上部や種子骨の直上が限局性に腫脹することもあります。
特に種子骨直上のものは悪性で、慢性になると母指大の硬結をのこし、往々深屈腱と癒着する。
(ⅱ)深屈腱
腫脹は普通管部の上1/3付近の支持靱帯との合流点に発することが多い。
また管骨中辺の部位および繋の後面にも認められます。この腱炎は競走馬、輓馬に多発。
俗に”エビハラ”bowed tendonといわれるのは、屈腱が腕関節下方から球節上方にわたって肥厚膨隆した状態を称しますが、浅屈腱の種子骨直上におけるものを”下エビ”low bowと称することがあります。
(ⅲ)繋靱帯
本靱帯の分枝、分岐点の直上、あるいはた骨中辺部などが腫脹する。
屈腱炎は、その軽重によって差はありますが、いったん傷ついた病変部が完全にもと通りに回復することはほとんどなく、容易に再発し、またしばしば慢性の経過を取る。
したがって、その結果腱の硬結および短縮をきたし、木脚肢勢または突球肢勢を誘発します。

