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家畜の腱炎または屈腱炎(tendinitis) ~ 原因

家畜の腱炎または屈腱炎(tendinitis) ~ 原因 腱の疾患

 
 

腱炎または屈腱炎

 
 
一般に家畜外科臨床で腱炎という時は、ほとんど馬の四肢、特に前肢の屈筋の腱の炎症を指します。
 
 
すなわち、浅屈腱、深屈腱および繋靱帯の3本の腱の炎症を総称して呼んでいます。
 
 
浅屈腱superficial flexor tendonは、上腕骨下端の橈骨上顆epicondylus radialisからおこり、腕関節の上方10~14cmから腱となり、支持靱帯check ligamentと合わしたのち、中手骨の後面を下降し、球節部では腱輪annular ligamentによって支持され、さらに下降して、繋骨(基節骨)および冠骨(中節骨)の外側掌面に終わる。
 
 
本腱は腕関節や指関節を腹屈する作用のほか、冠関節の背屈の制止ならびに繋靱帯の補助作用をなしています。
 
 
深屈腱deep flexor tendonは、浅屈腱の内面に接してはしり、管部の下半後面において、手関節後面から発する強靭な支持靱帯を受け、蹄骨(未節骨)後下面の屈筋面facies flexoriaに付着します。
 
 
したがって、蹄の起臥に直接の関係を有し、蹄が起つと弛み、臥ると牽引緊張し、蹄を反回する作用を受け持つ。
 
 
繋靱帯または中骨間筋suspensory ligament(M. interosseus medius)は、中手骨上端後面より発し、球節直上で2枝に分岐し、近位種子骨に停止したのち、球節の前面で、総指伸筋の腱につらなる。
 
 
蹄が臥る時は伸腱とともに繋靱帯も弛み、蹄が起つ時は伸腱と同様に緊張して下方に引かれる。主として負重の初期において球節の過度の背屈を防ぎ、球節を確立する支持帯としての作用を有します。
 
 
元来、腱は多数の腱原線維よりなり、弾力性に乏しいため、衝撃によって、腱線維の部分的断裂がおこって、その結果、腱炎を発します。
 
 
すなわち、腱原線維または原線維束、束間質、腱周膜に損傷が生じて、間質への出血、滲出、軽度の腫脹がおこり、発熱、疼痛などの炎症症状が出現します。
 
 
組織学的には、腱線維の断裂部の間隙は結合織細胞によって充填されるから、治癒した腱は正常の腱と異なった組成、血管分布をもつようになり、あとに腱の肥厚、短縮、時には癒着がのこる。
 
 
血管分布が乏しいため、この治癒の経過は緩慢です。
 
 

原因

 
 
①過激な運動、硬地上の激伸などによる腱の極度の緊張

②外傷または挫傷により、特に感染化膿した場合

③肢勢の不良、すなわち軟弱過長の繋、不良蹄踵など

④削蹄および装蹄の失宜 (特に幼駒、運動の激しい競走馬において)

⑤腱鞘、粘液嚢あるいは骨など関連する組織の炎症の波及

⑥Onchocerca reticulataの寄生(本邦にはいまだ報告がない)

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