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頸椎の疾患 ~ Wobbler症候群・犬のWobbler症候群

頸椎の疾患 ~ Wobbler症候群・犬のWobbler症候群 頸部の疾患

 
 

Wobbler症候群(wobbler syndrome)

 
 
幼駒のWobbler症候群(ataxia of foals, equine incoordination):生後3ヶ月ないし3~4年、主として2年以内の、発育の良い雄の競走馬と乗馬に発生する運動失調ataxiaを主徴とする疾患で、後軀が弱く、左右に動揺する(wobbling)ところから、この名で呼ばれている。
 
 
後肢の協調運動不能incoordinationが発生して運歩は蹌踉となり、小さく周囲させると肢がもつれる。蹄をひきずる。
 
 
後肢は位置覚position senseが失われ、また過度に挙上することがある。
 
 
どちらか一側の異常が他側より顕著なことが多い。前肢の障害は少ないが、後退時には後肢はふつうに動くが、前肢はうまく動かない。
 
 
本症はふつう突発する。全く異常を認めなかった馬が数時間の放牧後に突然発症することがあり、あるいは激しい筋運動をたとえば麻酔導入時の側馬に対する抵抗がきっかけになることもある。
 
 
それ以後の進行は区々で、長く寝たきりになるものがありまたいくらか回復するものもあるが、完全回復が確認された例は稀です。
 
 
頸髄の白質に圧迫による変性的病変が認められる。圧迫の原因としては、歯突起の異常に基づく環軸関節の脱臼、外傷性の椎骨の骨折や脱臼、膿瘍、腫瘍、迷走するウシバエや線虫の幼虫による血腫形成なども挙げられるが、第Ⅲ~Ⅵ頸椎の吻側端における脊柱管の背腹方向の狭窄とする見解が最も有力です。
 
 
しかしこの骨の変形の原因は不明であり、またそれが遺伝性か否かも確認されていない。
 
 
筋色素尿症、腸骨動脈塞栓、馬尾神経炎、腰臀部の筋肉痛などとの鑑別診断を要する。
 
 

犬のWobbler症候群(canine wobbler syndrome)

 
 
大型犬(グレートデン、ドーベルマンピンシェル、リッジバック、バセットハウンド)に生ずる運動失調で、そのうちグレートデンの発症が最も多い。
 
 
臨床症状も病理学的変化も馬のWobbler症候群によく似ている。雌より雄に多く、生後3~12ヶ月で発症することが多い。
 
 
後軀が左右に動揺する。雄犬も排尿時に腰を落としてうずくまる。症状は両側性、相称性で、不全対麻痺paraparesis、四肢不全麻痺tetraparesisを呈する。
 
 
後肢の力が弱く、足を引きずり、knucklingを呈し、周回時に肢がもつれる。位置覚が減退し、四肢を開帳する。膝蓋腱反射が異常に亢進する。
 
 
これらの症状は頸髄の圧迫に由来することが認められている。しかし頸の痛みや硬直はほとんど認められない。頸髄の圧迫compressionの原因は、椎骨の形成異常malformationと吻側端における狭窄(脊柱管の背腹方向の径の短縮)と考えられている。
 
 
バセットハウンドでは第Ⅱ~Ⅲ頸椎に狭窄の発生が多いが、他の3犬種ではもっと尾方の頸椎に発生する。本症は外傷性の頸の異常とは異なって徐々に発症するが、経過は進行性です。
 
 
頸椎の椎間板ヘルニア、骨折、脱臼、ジステンパーによる脊髄炎、筋骨格系の種々の疾患との鑑別診断が必要です。
 
 
病変として頸髄の圧迫と損傷が認められ、白質のいたる所とくに背柱、背側脊髄小脳索の軸索の腫脹のほか、脱髄、膠細胞増多症gliosisが認められる。
 
 
Hedhammarら(1974)はグレートデンの幼犬を蛋白、カルシウム、リンを過剰に含む飼料(過栄養overnutrition)で育成した結果、成長は対照犬よりも速かったが、椎孔の拡大がそれに伴わず、頸髄が圧迫されて変性とataxiaが発生したことから、本症と栄養のアンバランスとの関連を強調している。
 
 
治療法としては脊髄の圧迫の緩和と脊柱の固定の目的で、椎弓切除術laminectomy, 骨プレートによる棘突起の連結と固定、骨プレート、骨ネジまたは骨栓bone pegによる椎体の連結と固定などの手術療法が、単独または組み合わせて試みられています。
 
 
接合副子またはギプス包帯による固定は効果がない。

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