鼻腔内の異物および腫瘍(foreign bodies and tumors on the nasal cavity)
原因:副鼻腔の損傷、蓄膿から、また歯根部の疾患および歯瘻から鼻腔へ異物が侵入し、咽喉頭炎の時に鼻腔内へ食物が逆流することがある。
馬においてはしばしば鼻腔内に藁、木片、布片などの異物を見、甲介骨壊疽または喉嚢炎の際には、壊死組織片などの異物をみることがあり、犬、羊では寄生虫をみることがある。
鼻腔内腫瘍として線維腫、粘液腫、粘液線維腫、腺線維腫、線維性血管腫、肉腫、骨腫、軟骨腫などの発生が知られています。その他馬の偽鼻孔の嚢腫、アテローマatheroma(皮脂腺の貯留嚢腫)、外鼻孔の乳頭腫など特異なものをみることもある。
血性または血様膿性の鼻漏が持続し、呼吸困難に陥ることもあります。
治療法:異物、腫瘍とも摘出する外はないが、一般に困難なことが多い。姑息的には腫瘍の部分切除によって呼吸困難を少なくする。
副鼻腔炎(sinusitis)
鼻腔を囲む頭蓋骨に存在する骨洞(副鼻腔)には、しばしばカタル性ないし化膿性の炎症が発生しますが、内に膿が貯留したものは俗に蓄膿empyemaといわれる。
原因:大動物では
②鼻腔の腫瘍、異物あるいは寄生虫に起因する。
③外傷、顔面骨骨折、牛の断角などより発する。
④歯牙疾患(齲歯、歯槽骨膜炎など)
また犬・猫では
①ウイルス、細菌、カビの感染
②鼻または副鼻腔の損傷
③寄生虫、アレルギーなどによる。
症状・診断:大動物では、慢性に経過するものが多く、片側性の膿様鼻漏、咳嗽、顎凹部リンパ節の腫脹をみる(腺疫など)。蓄膿部は打診の際に濁音を発し、頭を下垂すると一時に多量の膿性鼻漏を出し、また鼻腔内分泌物の貯留と粘膜の肥厚によって呼吸困難、鼻塞音を発することがある。
部位によっては、特に幼駒において患部の腫脹膨隆を見、知覚過敏で、骨質が非薄になり、指圧で凹むことがある。涙管が狭窄して流涙し、また結膜炎の症状をみることがある。
牛の前頭洞蓄膿では、しばしば脳を圧迫して、脳症状を呈することがある。甲介骨は壊死に陥りやすい。小動物では、一般に持続的な膿性鼻汁を排出し、くしゃみの頻発、食欲不振、体重減少、体温のやや上昇、軽い貧血などがある。
X線診断は有効です。猫のウイルス性呼吸器病から副鼻腔炎をおこすことも多い。犬は外傷性が多い。
治療法:一般に全身的化学療法を行い、また罹患した骨洞に円鋸術を実施して、排膿洗浄を行う。鼻孔よりの排液状態が改善されれば経過は良好ですが、貯留物が粘稠で排液困難であれば経過は長びく。
小動物では、一般に充血除去剤、抗生物質、酵素剤などをまず用い、排液法を講じ、次いで外科的処置によって試験的切開を行う。
