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腫瘍の形態(morphology of neoplasms) ~ 腫瘍の性状

腫瘍の形態(morphology of neoplasms) ~ 腫瘍の性状 腫瘍

 
 

腫瘍の形態

 
 
腫瘍の大きさ、色、硬度、ならびに形状はさまざまです。
 
 

大きさ

肉眼的にほとんど認められないものから、鶏卵大、拳大、人頭大あるいはそれ以上におよぶものや、組織内を瀰漫性に発育して行くものがあります。

一般に腫瘍の大きさは、必ずしもその病勢と一致しない。

 
 

一般に腫瘍の実質(細胞あるいは組織)の色を現す。脂肪腫では黄色、黒色腫は黒色、粘液腫では透明の感を与え、また血管の多いものでは赤色、出血を伴うものは暗赤色となります。

肉腫などの壊死部は淡桃灰色を呈します。

 
 

硬度

腫瘍細胞に富むものや、粘液性の場合は一般に軟らかい。軟骨や骨組織を有するものは硬い。

 
 

形状

腫瘍の形状には、その発育過程において、限局性の結節の形をとるものや嚢胞状のもの、また境界が不鮮明なびまん性あるいは浸潤性に発育しているものがあります。

なかには内部が壊死融解して空洞を形成したり、表面が凸凹不平担のものあるいは潰瘍・瘻孔を伴うものがあります。一般に体表あるいは体腔内に増殖した腫瘍には、次のような名称がつけられている。

結節状(nodular)・きのこ状(fungous)・ポリープ状(polypoid)・乳頭状(papillary)・樹枝状(arborescent)・花キャベツ状(cauliflower-like)。

またラットの腹水癌、吉田肉腫などは腹水中に腫瘍細胞が浮遊したものです。

 
 

腫瘍の性状

 
 
腫瘍の性状については、腫瘍組織すなわち腫瘍細胞と間質の顕微鏡的形態・腫瘍の発育状態と続発的変化・腫瘍の生物学的性状などを知っておく必要があります。
 
 

腫瘍の顕微鏡的形態

腫瘍は腫瘍実質と間質とからなる。前者は腫瘍の本質的成分で、その細胞を腫瘍細胞といい、後者は腫瘍内において実質の間を埋めて存在する組織で、結合組織および血管を主体とします。

これらは腫瘍の種類によってそれぞれの特徴を持っており、腫瘍の診断上は、とくに腫瘍細胞の決定、腫瘍組織の形態的異型および分剖像が問題にされ、一般にその所見にもとずいて良性、悪性は区別されています。

 
 

腫瘍の発育

発育はもっぱら腫瘍細胞自身の増殖によって行われますが、その発育のしかたに次のような二つの形があります。

膨脹性発育(expansive growth)

良性腫瘍においてよくみられるもので、腫瘍が周囲の組織を圧排して発育する傾向が強く、腫瘍と健康組織の境界が鮮明で平滑なものが多い。

良性腫瘍は一般に発育速度が緩慢です。
 
 
浸潤性発育(infiltrative growth)

悪性腫瘍においてよくみられるもので、腫瘍の細胞あるいは組織が周囲の組織に浸潤性に増殖し、腫瘍と健康組織の境界は不規則かつ不鮮明です。

悪性腫瘍の発育は迅速です。

 
 

転移(metastasis)

原発した腫瘍の一部が体の他の部位に運ばれ、そこで再び増殖して、同一種類の腫瘍に発育する現象をいう。この場合原発した腫瘍を原発性腫瘍(primary tumor)、転移により生じたものを転移性腫瘍(metastatic tumor)または続発性腫瘍(secondary tumor)という。

転移は主としてリンパ管、血管・体腔・脳脊髄腔などを通して行われる。臓器のうちで転移をおこしやすいものは、リンパ節・肝・肺・骨・脳・漿膜などで、おこしにくいものは脾・骨格筋などです。

 
 

悪性変化(supervention of malignancy in benign tumor)

良性腫瘍が、その経過中に悪性腫瘍に変化することをいう。たとえば乳頭腫から上皮癌となり、腺腫から腺癌になることがある。しかしながら原発の良性腫瘍部にあらたに悪性腫瘍が形成されることもありうるので、この点は留意しなければいけません。

 
 

退行性変化(regressive change)

腫瘍は発育の過程において、しばしば脂肪変性・粘液変性・石灰沈着・乾酪変性・軟化・壊死などの退行性変化をきたす。また軟骨腫から骨腫に、筋腫から線維腫に転化することがある(化生 metaplasia)。

 
 

再発(recurrence)

腫瘍は治療によって完全に治癒したり、また自然治癒を営むことがある。

しかしながら外科的摘出術や放射線療法によって、いったん消失したのち、残存腫瘍細胞がもとになって再び同一腫瘍がそこに増殖した場合、これを腫瘍の再発といい、一般に悪性腫瘍において多くみられます。

 
 

良性腫瘍と悪性腫瘍

良性腫瘍は発育速度が緩慢で膨脹性に発育し、転移・再発が軽微であって生体に著しい傷害を与えることがない。

悪性腫瘍は発育が速く浸潤性でしばしば転移・再発をおこし、全身的にも重大な影響をおよぼすものであって、癌腫、肉腫などがこれに属します。

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