セルカリア皮膚炎
セルカリアの侵入局所に丘疹、膿疱疹、掻痒感をみる皮膚炎を生じ、再感染で増強します。皮膚炎の多発部位は四肢下部です。
糞便中に虫卵を排出する前の体内移行期に、一過性の咳、発熱がみられます。これは幼虫が肺に移行して肺組織に出血と、寄生性好酸球浸潤をみる炎症を生じるからです。
多数の産卵が始まる感染後、6~7週頃から現れる急性臨床症状であり、特異な病徴表します。腸壁近くの静脈で産卵すると、化膿菌の2次感染により腸粘膜に潰瘍を生じて、膿を混じる重度の粘血便を排し、糞便は腐敗魚様の外観を呈して悪臭を放ちます。
特に大腸に病変の存在する牛、犬に著しい。直腸検査で直腸下部に強い腸壁肥厚を認め、また、肝臓の腫大を蝕知します。腹痛、食欲不振、倦怠、疲労、削痩、速脈、貧血を伴い、乳牛は乳量が激減します。
血液所見に白血球、好酸球、好中球数の増加(特に初期に顕著)、赤血球数減少、低蛋白血症、低アルブミン血症、α2・β・γ・グロブリン増加、A/G低下がみられ、重篤例に著しい。
α2 グロブリン増加をみるのは炎症の強さを示しています。血清膠質反応も多くが陽性となります。
急性期にみられるこれらの血液変化は、主として腸管の病変と出血および滲出現象によるものでしょう。妊娠中には流産、早産もみられ、また繁殖障害も認められます。
重度に胎盤感染した子牛は生後間もなく発症し重態に陥る例がおおい。
症状は初期に激しく、徐々に軽くなりますが、7~8ヵ月は続き、その後は自然に軽快します。累年感染を繰り返せば、5~6年後には高度に免疫して症状は不明となります。
無病地から移入した新牛および子牛は一般に症状は重い。初感染の有症期間には糞便内に多数の虫卵を排出しますが、耐過した牛は虫卵の排出が少ない。
馬も新馬や子馬は感染率が高いが、症状は牛、犬に比較して軽く、排卵数ははるかに少ない。感染7~8ヵ月後にはほとんど排卵をみなくなります。また翌年は再感染しますが程度は軽く、3~4ヵ年後には完全に免疫するので無症状となります。
この病期は急性期を経過した後か、または長期にわたり軽度の感染が繰り返されて発生します。症状は肝硬変、肝石(粉)症によって特徴ずけられるもので、一般状態の悪化、削痩、発育不良のほか、肝硬変に由来する門脈うっ血により腹水を発生します。
血液所見には貧血がみられ、白血球数は正常値に近いが好中球・好酸球数は減少してリンパ球増加がみられます。赤沈値も促進します。
血清グロブリン増加、アルブミン減少が認められる。糞便中に排出される虫卵数は少ない。日本住血吸虫症の病態発生は、成虫による吸血、その他によるものでしょうが、最も重要な発病機序は虫卵による組織の変化に起因するものと考えられています。

