牛や豚、鶏を飼育すると、ハエや蚊が多数畜舎、鶏舎内に飛びまわっているし、家畜の体表を調べるとシラミ、ハジラミ、ノミなどが寄生していることが多い。
最近、犬や猫の飼育が盛んですが、不潔にしておくとノミの寄生をうけます。さらに、牛、馬などを放牧すると必ずといってよいほどノサシバエ、アブ、ブユなどの吸血性昆虫の襲撃をうけます。
また、外国から輸入された牛にウシバエ幼虫が寄生して、皮革としての価値を減じることもおおい。
このように、家畜害虫としての昆虫には多数の種類があり、家畜の疾病や人畜共通疾病のvectorになったり、家畜の外観を損ったり、家畜の生産性を減退させています。
さらに、畜産公害として重要なハエ類などもあります。家畜あるいはペットにとって、家畜害虫としての昆虫類の害は複雑多岐です。
昆虫の体は多くの節からできていて、この節には各種の付属器官appendageがついています。
体表はキチン質の外皮で被われ、体内は体腔を形成してその中に種々の臓器および血淋巴haemolymphが充満しています。
昆虫の成虫の形は頭部、胸部、腹部の3部に分れ、3対の脚をそなえています。この特徴はダニと異なる点です。
成虫の各部の形は次のようですが、変形しているものも多い。
頭部
頭部は原則として6節に分かれていますが、これらが融合しています。
1対の複眼と3個の単眼がありますが、これらは付属器官ではありません。複眼と複眼との間を頭頂vertexといい、頭頂の下方を額前頭fronsといっています。
額前頭には1対の触角antennaがあります。触角は頭部第2節からできている付属器官で、昆虫の種類により種々な形をした節よりなっています。
額前頭の下の部分は頭楯clypeusで、さらに下方を上唇labrumといっています。
頭部にある大きな器官は口器mouth partsで、比較的典型的な口器をもっている昆虫はゴキブリの口器です。ゴキブリの口器は1つの上唇、1対の大あごmandible、1対の小あごmaxilla、1つの下唇labium、および1つの舌状体(下咽頭)hypopharynxからなっています。
上唇は付属器官ではなく、頭部の延長したものです。
大あごは頭部第4節からできた付属器官で、2つの部分よりなっています。ゴキブリの大あごは強力なキチン質よりなり、餌などをかみくだいたりすることができます。
小あごは第5節からできた付属器官で、外側に小あごひげmaxillary palpusがあり、内側は摂食する部分です。下唇は1対ありますが、互いに融合していて、1つの下唇を形成します。
下唇の外部に下唇ひげlabial palpusをもっています。下唇は頭部の第6節からできた付属器官です。
上唇、下唇の間に舌状体があり、これは常に唾液管salivary ductの開口部と一緒になっています。吸血性昆虫の口器は原則的にはゴキブリの口器と同じですが、吸血に適するような形になっています。
胸部
胸部は頭部の6節に続いて第7~9節の3節よりできています。
これらは前胸prothorax、中胸mesothoraxおよび後胸metathoraxで、各節には1対の付属器官、すなわち脚legが生えています。
また、中胸、後胸にはそれぞれ1対の翅wingがあります。しかしながら、双翅目Dipteraに属する昆虫では後胸から生えている第2の翅は退化して小さな平均棍halterになっています。
無翅昆虫の胸の大きさは前胸、中胸、後胸ともほとんど同じですが、2対の翅をもっている昆虫では中胸、後胸は前胸より大きい。
また、双翅目の中胸は非常に大きく、よく発達しています。
さらに、前胸、中胸、後胸は背板、腹板、側板によって囲まれています。脚は基節coxa、転節trochanter、腿節femur、?節tibiaおよび跗節tarsusよりなります。
跗節はさらに数節に分れ、普通、末端に1対の爪clawがあります。
腹部
腹部は10~11節よりできています。
イエバエなどは最初の4節だけがわかり、あとの節は体の中にはまりこんでいます。雌のハエはこれらの節は産卵管ovipositorとなって突出しています。
多くの昆虫は腹部の8、9節が生殖器となっています。雌の外部生殖器は小さく、雄の外部生殖器は複雑で大きい。第10節は尾角cerciという1対の感覚器になっています。
また、肛門anusは体の最後の節で、普通は第10節にあります。
家畜害虫としてのおもな昆虫を、次の4つの群に分けることができます。
シラミ目(Anoplura)‥シラミ
食毛目(Mallophaga)‥ハジラミ
ノミ目(Siphonaptera)‥ノミ
双翅目(Diptera)‥ハエ、蚊、ヌカカ、ブユ、アブなど

