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ヘルニア(Hernia) ~ 腹壁ヘルニア

ヘルニア(Hernia) ~ 腹壁ヘルニア ヘルニア

 
 

腹壁ヘルニア(ventral hernia)

 
 
原因:馬、牛、豚に多い腹壁ヘルニアは、種々の外傷(衝突、蹴傷、墜落、角突など)によって腹筋が挫傷を受け、または皮下断裂をきたすことに起因して発生します。
 
 
またまれに妊娠末期または分娩時に、雌馬、雌牛の腹壁が過度に伸張または収縮する際に、腹直筋が突然破裂してヘルニアをおこすことがある(子宮ヘルニア、uterine hernia)。
 
 

症状:

 
 
ヘルニア門は拡大しやすく、ヘルニア嚢は一般に腹膜が破裂して皮膚のみによって形成されていることが多い。ヘルニアの内容は小腸、大腸、大網、子宮、子牛の第四胃、肝臓、膀胱などです。
 
 
陳旧の症例では、これらの内容がヘルニア嚢と癒着していることがある。
 
 
腹壁ヘルニアは腹部の種々の場所に発生しますが、多くは下腹部です。病初は帯痛性で大きな挫傷性腫脹のような外観を呈し、皮下出血・浮腫を伴い、そのためヘルニア輪の触診が妨害され、診断を困難にする。
 
 
時間が経過すると、その腫脹は軽減し、ヘルニアの特徴である還納性、ヘルニア門の存在などが容易にたしかめられるようになります。
 
 
一般に腹壁ヘルニアは嵌頓をおこす傾向が少ない。
 
 
骨盤部の近くで、腹直筋が断裂した場合におこる妊娠牛馬の腹壁ヘルニア(子宮ヘルニア)は著しく大きいものです。時にはヘルニア嚢の下面が地面にとどくことすらあり、その中に明らかに胎児の存在を触れることがある。
 
 
また乳房が下垂して地面に接触することもあります。豚においてもしばしば非常に大きいヘルニア嚢が形成される。
 
 

治療法:

 
 
挫傷性の変化が軽度で、ヘルニア門の位置が高い場合には、自然になおる可能性があります。
 
 
浮腫、出血など変状の著しい場合には、それらが吸収されたのち、圧定包帯をほどこすこともありますが効果は不確実です。
 
 
腫脹が著明で確実な診断がつかない時、または血腫、膿瘍の存在が予想される症例(ことに牛の角突による場合)では、状況により躊躇することなく手術療法を行わなければならないことがあります。
 
 
この場合あやまってヘルニア内容を傷つけないよう注意が必要です。
 
 
馬の腹壁ヘルニアに対して、いそいで皮膚刺激薬を塗擦するような処置を行ってはならない。これは強度の炎性腫脹を誘発し、またヘルニア輪から脱出した腸管による強い圧迫と相まって、浮腫を呈しているヘルニア嚢が壊死に陥る危険があるからです。
 
 

手術:

 
 
ヘルニア門の位置が好都合の場合には、丈夫な絹糸でヘルニア門を閉鎖することによって治癒させることができる。しかし腹壁の側面および下面に発生したもの、ことに馬や牛の大きなヘルニアは、手術をしても治らないことがまれではない。
 
 
これはヘルニア門が大きかったり腹圧が強いため、縫合と閉鎖が不可能だからです。また、たとえ縫合ができても、腹圧のためその部がさけ、ヘルニアが再発するおそれがあります。
 
 
最近、異物的形成術alloplastyが応用されはじめ、かなり大きなヘルニアの整復にも成功している。
 
 
すなわち、ナイロンなどのメッシュmeshを用い、ヘルニア門をおおい縫合する方法です。
 
 
これによって縫合部の裂けることがかなり軽減される。子宮ヘルニアでは、むしろ処置をほどこさず、分娩あるいは帝王切開後にヘルニア輪を縫合するほうがよい。
 
 
豚や犬猫では、ヘルニア門が大きくても予後は良好であるので、外科的に処置し縫合する。手術は普通、皮下出血や周囲の腫脹が吸収された後に行う。
 
 
ヘルニア門を縫合する場合、ヘルニア門が大きな単一の裂隙でなく、また各筋層の断裂の程度が異なっている場合には、手術の結果はむしろ良好です。
 
 
またヘルニア門が単に幅の狭い亀裂であって、深部の筋層縫合が可能な場合にも、予後は良好です。ヘルニア輪、筋層、皮膚と順次縫合し、手術後は後軀に包帯(腹帯)をほどこす。
 
 
皮膚縫合には、絹糸、木綿テープ、ナイロン糸、鋼線などが用いられています。

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