PR

食道の疾患 ~ 食道狭窄(Stricture of the Oesophagus)

食道の疾患 ~ 食道狭窄(Stricture of the Oesophagus) 食道の疾患

 
 

外傷性食道狭窄(traumatic stricture)

 
 
原因:食道内性の狭窄は損傷後の粘膜の重度の炎症ならびにそれに付随する瘢痕収縮により生ずることが多い。損傷を起こす要因としては、粗造な飼料、骨片などの尖鋭な異物、刺激の強い薬物・化学薬品、カテーテルの粗暴な操作などが知られていますが、近年全身麻酔時の胃液の逆流により逆流性食道炎が生じ、術後まもなく食物の通過の異常や不能の生じることが知られています。
 
 
また、食道外性の狭窄は周辺の腫瘤、膿瘍などの圧迫による場合が多いが、食道の痙攣によることもあります。
 
 
症状:通常嚥下困難を示し、流涎、咳嗽を発する。狭窄部の上部には拡張が発生しやすく、食物が停滞して、外部よりその膨隆を認めることがあります。
 
 
食道のカテーテルなどにより、その位置をたしかめることができる。食道梗塞と鑑別困難なことがある。
 
 
治療法:原因が明らかなものは原因を除去する。消息子などを用いて内腔の拡張をはかる。一般に予後は不良です。
 
 

右大動脈弓遺残(persistent right aortic arch)

 
 
本症は幼犬に多く発生する。
 
 
原因:胎生期における右大動脈弓の発生異常により、血管輪を形成して食道を圧迫し、いわゆる食道狭窄をひこおこしたものです。
 
 
症状:犬種のうち、ジャーマンシェパードやアイリッシュセッターに多くみられ、一般に生後3週目頃から食道狭窄特有の症状を現す。
 
 
すなわち、離乳後、狭窄部の通過が困難な固形食を与えた場合に急に頑固な嘔吐を起こし始めるのが特徴で、ミルクなどの流動食を与えるときは症状を現さない。
 
 
患犬は採食時に頭を低くして、頸部をのばす姿勢をとるものが多く、採食直後または、しばらく時間を経て嘔吐する。犬によっては、その吐物を再び食べ、空腹時の貪欲の症状を現すものがあります。
 
 
このような嘔吐が繰り返されているうちに、狭窄部より前方の食道がだんだん拡張し、採食直後には頸部食道において、膨隆部を触知することができるようになる。
 
 
吐物は粘液を混じ、消化されていないので、胃からのものと区別できる。
 
 
採食した食物が拡張部に長く停滞するものでは、発酵し、吐物は悪臭を帯び、食道炎や咽頭炎を併発するものが多い。
 
 
患犬はこのような経過のうちに、短期間に体重が減少して発育が遅れ、栄養不良に陥り、ついには悪液質や誤嚥性肺炎をひきおこして死の転帰をとる。
 
 
本症は稟告の聴取と臨床所見の観察でおおむね診断が可能ですが、X線検査(食道の単純撮影やバリウム造影)は食道狭窄部および血管輪の有無を知るうえにきわめて重要です。
 
 
また、血管輪形成ないしは、大動脈弓分枝の異常を明らかにするためには、心臓血管造影法も試みられています。
 
 
治療法:食道狭窄部をおこしている索状物(右大動脈弓遺残)を除去し、狭窄部を拡張させなければいけません。左側第Ⅳまたは第Ⅴ肋間を開胸し、食道の狭窄部を中心に鈍性剥離して、索状物を露出したのち十分に切除する。
 
 
一方、胃カテーテルを挿入して食道に空気を送り、狭窄部を拡張させる。
 
 
もし、経過の長いもので、狭窄部の頭側の食道拡張が著しいものでは、同時に食道嚢状部の矯正、すなわち左背側切除術を行う。

タイトルとURLをコピーしました