齲歯(dental caries)
齲歯とは歯の進行性の局部的崩壊、変色、欠損をいう。家畜での発生は一般に少ないとされますが、そのなかでは、犬における発生がもっとも多い。
特に短頭種より長頭種、たとえばフォックステリアに多い。犬ではエナメル質、セメント質から、馬ではまれにセメント質から原発します。
原因:特異的な病原体は確立されていないが、一般に口内の常在菌による飼料片の醗酵によって産生される酸の作用で、歯の脱灰、軟化がおこり、さらに融解に進むとされる。
その他先天的な歯の構造不良、歯の咬合不正、飼料の不良、歯の鑢削、歯折など種々なものが原因と考えられます。
症状:犬では上顎の臼歯に多発し、下顎にはほとんどみられない。馬では第三前臼歯および第一後臼歯に多発し、上顎に多いとされます。
一般に疼痛を伴わないかぎり容易に発見されない。馬では初期に臼歯皺襞陥凹部に暗黒点としてみとめられますが、下顎などで飼料の嵌入しているものと鑑別する必要がある。
陥凹部の分解が拡大、進行して神経に達すれば疼痛による咀嚼障害をきたして注目される。
治療法:患部の歯牙充填術は普通行われない。犬では抜歯し、ルゴール塗布で肉芽の発生を待つ。
歯槽骨膜炎(alveolar periostitis)
歯周炎paradentitis, parodontitis, 歯根膜炎periodontitis, 歯槽炎alveolitisなどの用語も使われている。歯と上、下顎骨を結合している歯槽骨膜の炎症をいうが、通常その周辺付近の炎症も同時にみられ、臨床的に個々を区別することは困難です。
原因:①歯と歯肉の間隙に異物の侵入あるいは感染がおこるのが、もっとも普通の原因です。②顎骨、歯槽の外傷・骨折、歯肉の損傷、③齲歯、歯折、④歯石、⑤成長期の馬の飼養管理の不良、⑥肉食獣で軟飼、ビスケットの自由給与も原因となります。
症状:馬では、もっとも多発する歯牙疾患で、臼歯、特に第三前臼歯、第一後臼歯に発することが多い。一般に患歯が弛動し、疼痛が激しく、咀嚼障害が大です。すなわち、固い穀粒、冷水を給与すると頭を一側に傾け、採食を一時中止したり、採食に長時間を要し、飼料を口外に漏したりする。時に口内臭も顕著となる。
さらに馬には慢性化骨性歯槽骨膜炎chronic ossify-ing alveolar periostitisがみられるが、2~3年齢の発育中のものに多く、主として歯槽骨膜および顎骨の肥厚増殖をきたし、上顎または下顎に骨瘤状の硬固な突隆を生ずるものです。
時には瘻管をつくり、歯瘻となることがある。犬・猫では普通歯肉炎からはじまり、その付近に波及し、歯槽骨の崩壊、歯根膜炎ないし、歯周炎となる。
流涎、患歯の弛動、歯肉の発赤・腫脹、採食不良、口臭などが著明となる。羊では、地方性の特異なものがあるという。
治療法:異物などの刺激原因を除去し、口内洗浄(過マンガン酸カリなど)を十分にし、ビタミンC、抗生物質の投与、抜歯を考える。

