歯牙による年齢鑑定
歯の発生(萌出)eruption,脱換shedding,咬合面の形状および摩耗wear,attritionの状況は動物の年齢鑑定に役立つ。しかし早熟・晩熟の差および栄養の良否により相違がある。以下はその平均的な数値です(主にSissonによる)。
a.馬は主に切歯の発生、脱換、咬合面の形状および摩耗の状態から判定する。
b.牛では切歯の脱換から5歳くらいまでは判明するがそれ以上は不明瞭で、乳牛などでは角輪の観察が補助的に役立つ。
c.犬では脱換および主結節突起の摩耗状態から推定する。
歯牙疾患の一般的徴候
草食動物の場合は、特に歯牙疾患の異常は影響するところが大きく、顕著な徴候がみとめられる。すなわち
②しばしば流涎があり、食塊を口外に落とし、また頬に哺塊を残留する。
③食欲はあるが、栄養不良となり、糞中に不消化穀粒を含み、被毛、換毛の状態が不良となる。
④口内臭を発することがある。
⑤下顎骨、リンパ節などの腫脹をみることがある。
以上の徴候は、特に歯牙疾患に特異的ではないが、しかしその重要な一般的徴候であるから、これらを認めた時は、かならず口腔内検査を行う。
なお、特に第三前臼歯および第一後臼歯は解剖的、生理的に歯牙疾患の多発する歯であるから、注意深く検査することが肝要です。
肉食獣(犬、猫)の場合は、一般に咀嚼回数も少なく外見的徴候はほとんどみとめられず、通常生後3ヶ月齢、6ヶ月齢、1年時、以後は6ヶ月ごとに定期的に検査して異常を矯正することが推奨される。
歯の萌出および脱換の異常(abnormal eruption and replacement)
歯がいまだ歯肉内に固着残留して、萌出しないもの、または乳歯が残留して永久歯の発生を妨げている脱換異常と呼ばれるものがある。犬の場合は普通2~3ヶ月齢で検査を行い、次いで6ヶ月齢以後6ヶ月ごとに検査するのが良いとされる。
これによって最初は乳歯の萌出困難なものを切開して萌出をうながし、次いで5~6ヶ月では乳歯の残留を検査し、その脱換異常を矯正し、それによる咬合不正を防止する。
馬では2年半~3年の頃、下顎第一前臼歯に乳歯残留をみることがある。
過剰歯(supernumerary teeth,polyodontia)
①狼歯wolf teeth:馬の上顎前臼歯の直前に生後6ヶ月頃、しばしば現れる小歯で、本来のP₁です。臨床上はあまり支障を生じませんが、競走馬では調教を妨げるといわれて抜歯することがある。
②過剰切歯supernumerary incisors:永久歯の胚芽の分裂によるもので、馬の場合は摩耗異常がなく支障を生じないかぎりは放置する。犬では時期によっては、ほとんど全犬種にみられ、抜歯する。
③過剰臼歯supernumerary molars:馬で第三後臼歯の後方にみることがある。犬では前臼歯にしばしばみられる。
