腹水症(Ascites Syndrome)は、主にブロイラーに多く見られる循環器疾患で、鶏群の死亡原因として非常に重要な病気です。
急速な成長に心肺機能が追いつかず、肺高血圧 → 右心不全 → 腹水貯留へと進行します。
この記事では、養鶏初心者から経験者まで知っておきたい「腹水症の原因・症状・診断・予防・治療の考え方」をわかりやすく解説します。
🫀 腹水症の原因|なぜブロイラーに多いの?
ブロイラーは改良により短期間で急成長します。その結果、
1.体が必要とする酸素量が急増
2.肺血管の抵抗が上昇
3.肺高血圧が発生
4.右心室が肥大・拡張
5.腹腔内に液体(腹水)が貯留
という流れで発症します。
※レイヤーや在来種でも条件次第で起こることはありますが、急速成長系統で特に多発します。
🌡 発症リスクを高める環境要因
以下の管理要因は、腹水症のリスクを高めます。
🏔 高地(酸素濃度が低い)
🐔 過密飼育
💨 換気不良(アンモニア蓄積)
😰 ストレス
🍽 不適切な給餌管理(過度な成長促進)
特に換気管理と成長スピードのコントロールが重要です。
⚠ 腹水症の主な症状
🔹早期発見が生存率を左右します。
●お腹が膨らむ(腹部膨満)
●呼吸が荒い・開口呼吸
●鶏冠が紫色(チアノーゼ)
●元気消失・活動量低下
進行すると:
●右心室の肥大・拡張
●麦わら色の腹水貯留
●心嚢水の増加
●肝臓の線維化
●全身性うっ血
重度では臓器不全に至ります。
🔍 診断方法
家庭飼育と商業飼育で異なります。
🐓 一般的な確認方法
●腹部の触診
●腹水の穿刺確認(淡黄色〜麦わら色が典型)
🏥 獣医診断
●レントゲン検査
●心エコー検査
●心電図検査
●腹水の成分分析
※商業ブロイラーでは剖検で確認されることが多いです。
🛡 腹水症の予防対策【最重要】
🔹腹水症は「治療より予防」が基本です。
① 成長速度をコントロール
●制限給餌プログラム
●エネルギー密度の調整
●過食防止
※給餌回数を分ける方法は補助的手段です。
② 鶏舎環境の改善
●十分な換気
●過密の回避
●清潔管理
●アンモニア対策
③ 体重管理
●適正体重の維持
●運動機会の確保(放し飼いなど)
💊 治療と対処法
❗ 完治する治療法はありません
腹水症に対する確立された治療法は存在しません。
一部研究では:
●ウコン(ターメリック)
●ビタミンC
●ビタミンE
などの抗酸化物質が進行軽減に寄与する可能性が示唆されていますが、補助的なものです。
💉 腹水を抜く(ドレナージ)処置について
腹水を抜くことで一時的に呼吸が楽になる場合があります。若齢で軽症なら数か月再発しない例もあります。
しかし:
●根本治療ではない
●感染リスクがある
●鳥の負担が大きい
という理由から非常に慎重な判断が必要です。
必ず事前に獣医師に相談してください。
🧪 抜いた液体の色の目安
🟡 淡黄色〜麦わら色:典型例
🟢 緑色・⚫ 黒色:感染を疑う
混濁・悪臭:細菌感染の可能性
※色だけで腎不全などを断定することはできません。
🕊 予後と安楽死
進行した症例では回復率は低く、感染や臓器不全を伴う場合は予後不良です。
重度で苦痛が強い場合には、人道的安楽死が推奨されることもあります。
✅ まとめ|腹水症は管理で防ぐ病気
腹水症は、
✔ 急速な成長
✔ 酸素不足
✔ 環境管理不良
が重なって発症する循環器疾患です。
最も重要なのは:
●成長速度の管理
●適切な換気
●過密回避
●体重コントロール
日々の観察と飼育環境の見直しが、群全体の健康を守ります。

