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会陰の疾患(Diseases of the Perineum) ~ 会陰の損傷

会陰の疾患(Diseases of the Perineum) ~ 会陰の損傷 腹壁・臍・鼠径部・会陰・腹膜・大網および腸間膜の疾患

 
 
腹壁の恥骨部regio pubicaの後位にあって、肛門と外生殖器との間を会陰という。雄畜では陰嚢と肛門との間、雌畜では肛門と陰門背縁との間に相当する。
 
 
骨盤腔の後壁にあたり、左右には、肛門拳筋M. levator ani, 内閉鎖筋M. obturatorius internusをおおって長大な半膜様筋M. semimembranosusがせまり、非常に狭隘な部位です。雄では正中線皮下に尿道が走っている。
 
 

会陰の損傷(injuries of the perineum)

 
 
会陰の損傷はほとんどが分娩の際に発生し、馬、牛ではしばしば腟後部の背壁、側壁、陰唇および会陰皮膚の裂創がおこる。時には腟、直腸、肛門括約筋および会陰がすべて裂開することもある(Farquharsonの第3度裂創)。
 
 
Farquharsonは、これらを次の3種に分類しました。
 
 

a.第1度:腟および陰唇の粘膜の表面にとどまる裂創
 
 
b.第2度:腟および陰唇の壁の全層の裂創
 
 
c.第3度:腟、直腸、肛門括約筋および会陰がすべて裂開しているもの

 
 
(ⅰ)原因:会陰の裂創は主として初産の馬・牛に発生する。馬ではしばしば第3度の裂創が発生しますが、牛では多くは第1度および第2度にとどまる。
 
 
軽種の馬、とくにサラブレッド、ことに性質が過敏で強烈な陣痛を伴う場合におこりやすい。
 
 
もっとも普通の原因は、胎児と産道の大きさが均衡を失っていることで、分娩が延引し、腟背壁、陰唇背連合、直腸底に長時間圧迫が加わり(ことに性器の発育が不良な場合、あるいは初産の場合)、そのため、これらの組織に循環障害が生じ、緊張が失われて、胎児を無理に引き出す時の激伸によって断裂しやすくなる。
 
 
また産道の拡張が不十分なうちに無理に胎児を牽引することも原因の一つになります。
 
 
馬では胎児の1肢または2肢が頭上に交叉している場合に、この裂創をおこすことが多く、転位した肢が斜めに腟背壁および直腸壁を穿破する。
 
 
したがって、その肢勢を矯正せずに胎児を牽引すると、腟壁、直腸壁、肛門括約筋および会陰が完全に断裂する。
 
 
以上の事故は術者およびこれを介助する人々の操作に原因するものであるから、十分に予防することができる。
 
 
(ⅱ)症状:出血はあまり激しくないが重度の浮腫が発生する。努責は普通みられない。直腸と腟とが同時に裂開すれば、直腸膨大部ampulla rectiは便抑留と排出の機能を失い、直腸腟裂口から便の失禁がつづく。また挙尾反射がおこらなくなる。
 
 
種々の程度の腟炎がおこり、上行性の子宮感染のため不妊となる。
 
 
運動すると特徴のあるガボガボという音(wind-sucking noise)を発する。直腸、腟の粘膜は一般に正常の緊張を失って弛緩している。
 
 
(ⅲ)治療法:創縁がいったん治癒し、浮腫と炎症がおさまってから整形手術を行う(3~6週間後)。
 
 
すなわち、直腸壁と腟壁を閉鎖し、両者の間に新しく境界組織(shelf)をつくる。この際、その組織に余分な緊張が加わらないように注意し、直腸壁縫合の縫合糸が直腸粘膜面に露出しないように注意する(埋没縫合)。
 
 
露出すれば、例外なく創の感染、組織のき裂・壊死をきたし、癒着は不成功に終わる。

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