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血管の疾患 ~ 解剖と生理・血管の損傷

血管の疾患 ~ 解剖と生理・血管の損傷 心臓・血管およびリンパ系の疾患

 
 

解剖と生理

 
 
動脈(artery):内膜は内皮と内皮下層および内弾性板からなり、中膜では輪走筋が厚く発達しています。外膜は中膜をかこむ線維性結合織層で、血管・血管運動神経およびリンパ管が存在する。
 
 
動脈は心臓を出ると次第に分岐を重ねて毛細血管に移行する。
 
 
静脈(vein):動脈に比べて壁が薄く、内腔の形は不規則で広い。多くの場合、内弾性板を欠き、弾性線維網にかわっている。とくに四肢の静脈では静脈弁valvula venosaがよく発達し、血液の逆流を防いでいる。
 
 
毛細血管(capillary):1層の内皮層からなる。外側に薄い膠原線維層があり、ところどころに外膜細胞が認められる。
 
 
血管はつねに血管運動神経(交感神経・副交感神経)の支配を受け、これによって正常な血液循環を維持していますが、もしその一部に損傷あるいはその他の病変がおこると、局所または全身に種々の障害をひきおこすものです。
 
 

血管の損傷(injuries of the blood vessels)

 
 
血管の損傷は、一般創傷および挫傷時にしばしばみられます。血管損傷の主徴は出血hemorrhage or bleedingです。出血には一般創傷にみられる外出血、挫傷時の皮下出血(溢血:斑状出血、広汎出血、出血性浸潤・血腫)、肺から気管を経て、体外へ喀出する喀血hemoptysis、消化管を経て体外へ流出する吐血hematemesis、下血melena、潜血occult bleedingおよび鼻出血(衂血)epistaxis、血尿hematuria、血色素尿hemoglobinuria、子宮出血menorrhagiaなどがあります。
 
 
また心膜内に血液が貯留した場合は心膜血腫hemoperi-cardiumといい、胸腔内のものは血胸hemothorax、腹腔内出血hemoperi-toneum、関節腔内のものは関節血腫hemarthrosisと呼びます。
 
 
小出血の場合は、血管壁の反射的収縮によって、血管の断端に血栓を生じて止血し、周囲組織も著しい傷害を受けないものですが、脳・心臓・肺臓・膵臓では危険を伴う。
 
 
大出血、とくに短時間に多量の出血(全血量の1/3以上)があるときは、循環血液量が急激に減少し、出血性ショックをひきおこして斃れる。これを出血死death of bleedingという。
 
 
血管損傷の継発症としては、静脈炎(静脈内注射・刺絡時の感染、化学薬品による腐蝕など)、空気栓塞(馬・牛の頸静脈刺絡術)および血栓や血管痙攣にもとづく末梢動静脈の血管塞栓などがある。
 
 
血管の損傷に対してはできるだけ早く血管縫合および化膿防止策を講ずる。乏血や循環障害のあるもの、あるいはショック状態に陥っているものでは、それぞれ救急的な対症処置を施す必要があります。

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