PR

後天性心疾患 ~ 豚の心内膜炎・牛の創傷性心膜炎

後天性心疾患 ~ 豚の心内膜炎・牛の創傷性心膜炎 心臓・血管およびリンパ系の疾患

 
 

豚の心内膜炎(pericarditis of the swine)

 
 
豚に見られる心内膜炎は、一般に疣状心内膜といわれ、病原菌によって心内膜に表在性の疣状病巣を形成したものをいう。二尖弁に発するものが多く、三尖弁や大動脈弁にも見られる。
 
 
本症は豚丹毒菌の感染によるものが多いが、このほかに溶血性レンサ球菌、コリネバクテリウム・ビオゲネス、ブドウ球菌なども分離されている。
 
 
軽症のものでは、ほとんど特徴的な所見を示さないが、重度の肉芽病巣などをもつものでは、心不全を招き、著しく削痩して発育が阻害され、褥瘡や胸前水腫、肺水腫およびチアノーゼなどの所見が見られる。
 
 
通常、肉用豚では、と畜検査の場合、解体前に診断されることはあまりなく、強心処置などの治療の対象になっていない場合が多い。
 
 

牛の創傷性心膜炎(traumatic pericarditis of cattle)

 
 
本症は牛に多発し、ほかの動物ではほとんどみられない。
 
 
(ⅰ)原因:牛は針・釘などの金属性異物を飼料とともに、あるいは自ら好んで採取する習性をもっている。嚥下された異物は、しだいに第二胃に集まるが、そのうち尖端の鋭利なものは、第二胃壁に刺入してさらに横隔膜を貫通する。
 
 
とくに異物の太さが一様で第二胃壁を容易に通過するものは、心膜に刺入し、また心筋に侵入しやすい。心膜炎はこのような経過で発症するもので、かならずしも第二胃内異物がすべて心膜炎を発症させるものではない。
 
 
創傷性心膜炎は、その経過中に程度に多少の差はあるが、胃炎や腹膜炎の症状を現わす。妊娠や分娩時における腹圧の増大は誘因になるといわれています。
 
 
(ⅱ)症状:第二胃炎ないし腹膜炎は急性あるいは慢性の胃腸障害、腹痛、呻吟、削痩など胃および腹膜の炎症に伴う症状が主徴ですが、心膜炎となり病変が胸腔におよぶと、明らかな循環障害が現れてくる。
 
 
その主なるものは、頚静脈怒張および虚性拍動、胸前などの冷性浮腫、心拍数の増加心音の異常(拍水音、混濁、聴取困難)、心臓濁音界の拡大などです。
 
 
第二胃腹膜炎にみられる呻吟や第二胃下底部の圧痛も認められるが、なかにはかえって軽減することもある。前肢の開張、降坂時の疼痛もみられる。
 
 
このほか炎症に伴う発熱、脈拍数と呼吸数の増加、元気食欲の減退、白血球の変化(白血球数増加、百分比における中性多核および桿状核白血球の増加)、アルブミンの減少、代謝の亢進などは心膜炎の場合にはきわめて著しい。
 
 
患畜の経過はまちまちですが、一般には急速に衰弱して斃死する。
 
 
(ⅲ)診断:稟告によって、それまでに創傷性胃炎ないし第二胃腹膜炎を疑わせる症状があったかどうかを確かめる。しかし、なかにはそのような症状に気付かないうちに、にわかに心炎膜の症状を発するものもある。
 
 
心電図の検査によって心臓の異常を観察し、また金属探知機あるいはX線検査によって、異物の存在を確かめる。胸腔(心臓部)を穿刺して、心膜腔内の貯留液を採取して検査することがあります。
 
 
(ⅳ)治療法:本症は診断が確定した時には、すでに屠場に送る以外に方法がない場合が多い。近年は開胸手術による異物の摘出が試みられていますが、成功率はいまだ高くない。
 
 
牛の異物摂取を予防し、あるいは胃内の異物を除去する手段を講ずることこそは、本症の発生を未然に防ぐ最良の対策です。

タイトルとURLをコピーしました