筋、腱、関節の非感染性炎症の局所治療薬について。これらの疾患は馬や犬での跛行の最も大きな原因です。全身適用薬としては非ステロイド系消炎薬が用いられる。
外用剤が用いられるのは主として腱炎と関節炎です。
しかし薬物の皮膚適用によって強く作用を受けるのは内皮、皮下までであるから、腱炎や関節炎の効能には疑問を持つ研究者もいます。
誘導刺激薬(counter irritants)
“counter irritants”という用語は体内の炎症性変化に対してその近傍の皮膚に炎症性変化(irritation)を起させる薬物を意味しています。
この療法は炎症局所の血流量を増加させることによって働くと考えられている。
サルチル酸メチルとかメントールは前世紀から人の捻挫に用いられていますが、現在でも打ち身捻挫の治療薬としてはこの二つの薬物の配合剤が代表薬になっています。
冬緑油の有効成分。①弱い刺激性があり、皮膚透過性がよいので内皮に浸透して血流量を増加させる。②弱い消炎作用がある。
通常、メントールやカンフルなど他の弱い誘導刺激薬と配合した軟膏とか貼付剤として用いる。
昆虫の豆斑猫Epicauta gorhamiの乾燥粉末をカンタリスといい、古くから誘導刺激薬として用いられたが、有効成分はカンタリジンです。
皮膚浸透性は中程度ですが、刺激作用が強く、発赤・発疱作用を示す。
チンキ剤か軟膏として用いられる。
ジメチルスルフォキシド(dimethyl sulfoxide,DMSO):吸収促進薬
無色無臭の液体で、水を含む殆ど全ての溶媒と混合可能であり、物質溶解性も極めて高い。
薬物をDMSOに溶解して皮膚に塗布すると、容易に皮膚角質層を通じて吸収される。その作用機序は明確でないが、薬物は上皮細胞内を通過し、汗腺・皮脂腺・上皮細胞間隔を通過しない。
DMSOの適用によって皮膚上皮細胞の細胞膜に機能的変化が起ることは細胞内電位の測定から予想されている。形態学的には変化が認められない。
DMSO自体にも弱い抗炎症作用、局所鎮痛作用、抗菌性があり、炎症の局所治療薬の基剤としては有用性が高い。抗炎症薬としては馬・犬の外傷性損傷や急性腫脹の治療に用いるゲル剤やスプレー剤が欧米で売られている。
DMSO自体は毒性の低い物質ですが、作用の強い医薬品を溶解して過量に塗布すると極めて危険です。
副腎皮質ホルモン
馬の関節炎では関節腔内への直接注入法が用いられる。
水溶性製剤では皮下注射程度の速度で吸収されて全身循環に入る。従って不溶性アルコール型薬物の水性混濁剤が用いられる。

