牛の肺か豚の腸粘膜から得られる抗凝固性のムコ多糖類。
分子量は5千~1万5千で分子内単糖の殆どが硫酸化されているので強酸性の物質です。Na塩かCa塩のいずれかで用いる。
重量あたりの活性が一定しないので生物検定法での単位で表現する。
体内動態
静注か皮下・筋注で用いる。経口投与では無効です。
主として肝での代謝によって消失し、約20%は尿中に排泄される。半減期が1時間程度ですが、動物種差や個体差が大きい。
奇妙なことに肝障害によって消失速度が速まるし、腎障害は消失速度に影響しない。
薬理作用
アンチトロンビンⅢと結合してプロントロンビン、Ⅺ、Ⅹ、Ⅸ、Ⅶ因子を不活化する。従ってin vitroでもin vivoでも抗凝固作用を示す。
in vitroではプロトロンビンの活性化を強く抑制するのに、in vivoでは外因性凝固に対する影響が軽度で内因性凝固を強く抑制する。
ヘパリンには脂肪による血液の混濁(lipemia)を消失させる作用があり、この作用は抗凝固作用よりかなり低い濃度で発現する。
この作用はヘパリン感受性リパーゼを血管壁から血中へ放出させて活性化する機序によって現れるので、in vitroでは認められない。
臨床応用
治療薬としては急性的な血栓症に用いる。
過量に投与すると出血症が併発する恐れがあるので、内因性凝固時間を示す部分トロンボプラスチン時間(PTT,aPTT)を測定して正常値の2~3倍程度に延長する用量を用いる。
その他、外科手術後の血栓症発症防止とか血管カテーテル内の凝固防止や試験管内凝固防止の目的にも用いる。
拮抗薬
ヘパリンの過量投与による出血症にはプロタミン(protamine)を用いる。
この薬物はサケ科魚類の精巣から得られる強塩基性蛋白で、硫酸塩で用いられる。
ヘパリンと化学的に結合して失活させるので、拮抗薬というより解毒薬に近い。

