血管拡張薬
末梢血管を拡張させ、循環抵抗を低下させる薬物は医学領域で汎用されている。
使用目的として…
②高血圧症における降圧剤
③末梢循環抵抗の低下による心不全の症状改善
が挙げられる。
獣医領域では主として小動物臨床で③の目的に用いられる。
心不全の動物では末梢抵抗を低下させると心拍出量が増加し、また心の負担が軽減される。
犬の高血圧(113/202mmHg以上)は腎不全の併発症としてだけ発症する。
有機ニトロ化合物(organic nitrates)
副交感神経などの血管弛緩性刺激は血管内皮細胞に作用して一酸化窒素(NO)を放出させる。
NOは血管平滑筋細胞のグアニルシクラーゼを活性化し、cGMPの濃度を高めて筋繊維を弛緩させる。
有機ニトロ化合物は…
②薬物自体が代謝されてNOになるかの機序で働く。
速効性であり、急性心不全に対して静注か経皮で用いられる。
人体用は舌下錠で用いられる事が多い。
分子中の硝酸が薬理的有効部分で、糖とエステルにする事によって動態学的に優れた薬物になっている。
1日3~4回の経口投与で用いる。
ヒドララジンは細動脈に直接作用して弛緩させる。
作用機序としてはNO放出促進が最も重要らしい。
経口利用率の低い化合物ですが、一般には経口で用いられる。
ベラパミルやニフェジピン(nifedipine)が血管拡張薬として経口で用いられる。
カプトプリルなどが血管拡張薬として経口投与で用いられる。
欝血性心不全
欝血性心不全の多くは何らかの原因で慢性的に心機能が低下した時にみられる全身性浮腫です。浮腫は四肢で著明ですが、犬では腹水もみられる。
治療
犬の拡張性心筋症は老化に伴う欝血性心不全であり…
②市販の低塩食餌を給与し
③利尿薬を給与する
以上の3項目が基本治療法であるが、さらに強心配糖体や血管拡張剤を投与した時に基本治療法以上の効果が期待できるか否かの比較試験が多くの臨床家から報告されている。
多くの報告では症状の改善は期待できるが余命期間の延長は期待できないと結論している。
投与継続期間
欝血性心不全でも甲状腺機能低下、急性腎炎、急性左心室不全、消化器疾患などに続発する症例では原因疾患が治れば欝血性心不全も治り、ジギタリスを投与していても中止することができる。
しかし原発性欝血性心不全ではジギタリスや血管拡張剤によって治癒することはなく、投与を開始すれば死亡するまで続けることになる。
猫の心筋症は左心室過形成であり、治療法が確立されていない。
牛の心不全の殆どは他の疾病の併発症であり、原因疾患の治療が先決です。

