麻酔事故では人工呼吸による呼吸の確保と輸液が治療の原則ですが、緊急治療には呼吸興奮薬も用いられる。
蘇生薬(analeptics)
蘇生薬とは呼吸が著しく抑制された時に用いる呼吸中枢興奮薬です。
代表的薬物にドキサプラムとジモルホラミンがある。
体内動態
ドキサプラムもジモルホラミンも緊急治療に用いる薬物であるから静注でだけ用いる。
いずれも脂質バリア通過性の悪い薬物ですが、脳内にも分布する。
作用時間が15分程度と極端に短いので再分布機構があるのではないかと考えられています。
ドキサプラム(doxapram)
薬用量では特異的に呼吸中枢を興奮させ、高用量では痙攣させるが呼吸興奮用量と痙攣用量には70倍以上の差がある。
呼吸興奮作用によって呼吸量と呼吸数が増加するが同時に血圧も上昇する。
これらの作用には、延髄中枢への直接作用だけでなく頸動脈洞や大動脈弓の化学受容体への作用も関与しているらしい。
動物種差は小さい。
ジモルホラミン(dimorpholamine)
治療量では呼吸興奮と血圧の上昇が認められ、治療量の10倍以上では先ず強直性痙攣が現れ、次いで間代性痙攣に変わり、15~20分後に弛緩状態になる。
小動物や麻酔事故の蘇生薬として用いる。
ヒトでの使用経験では呼吸が著しく抑制された時にドキサプラムやジモルホラミンを用いると呼吸が劇的に回復する。
どちらの蘇生薬も作用時間が短いので反復投与が要求されるが、蘇生薬を反復投与した時の予後は一般に悪い。
したがって麻酔事故では人工呼吸と輸液による治療を優先させるべきであり、蘇生薬は緊急時でやむおえない時に1~2回だけ用い、人工呼吸に切り替える方法が推奨されている。
多種類の吸入麻酔薬や注射麻酔薬に拮抗し、麻酔時間を短縮させる薬物として知られている。

