最小肺胞濃度MAC(minimum alveolar concentration)は動物に麻酔薬を吸入させたときに、痛覚刺激に対する肉眼的反応が消失する肺胞内濃度であると定義されている。
MACの測定
実際にMACを測定するには次のような試験を実施する。
動物に被験麻酔薬を1気圧で吸入させて麻酔状態になったら吸入濃度を一定に保ち、15分間以上にわたって平衡させる。
尾に痛覚刺激を加えて動物が動いたか動かないかを判定する。
この悉無反応を濃度を変え、個体を変えて測定し、50%の動物に有効な吸入濃度ED50を算出する。通常の麻酔薬では15分以上平衡させれば吸入濃度(分圧)と肺胞内濃度、肺胞内濃度と血中濃度は平衡に近い状態になり、血中濃度と脳中濃度も等しくなるはずです。
20頭程度の個体で測定してみると、同一動物種であれば各個体のMAC値は極めてよく一致する。(標準偏差がMAC値の10%前後)。
MACの意義
MACは各薬物の麻酔力の最も正確な指標です。
従来から犬に対してハロタンはエーテルの4倍の麻酔力があると主張されてきたが、MAC比とよく一致する。
また動物種差による麻酔薬に対する感受性とも一致する。
例えば猫はエーテル麻酔箱内で容易に麻酔できるが、犬をエーテル麻酔箱内や開放式で麻酔することは不可能に近いことも両動物のMAC値を比較すると理解できる。
一般にMACの1.5倍程度の濃度が単独麻酔での目安となり、さらにその2倍が導入濃度の目安となる。
また麻酔時の呼吸循環器系などへの作用もMACの何倍でどのような反応がみられるかを表現することが正確な記載になる。

