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抗ヒスタミン薬(H₁拮抗薬, antihistaminics)

抗ヒスタミン薬 オータコイドと抗炎症薬

 
 
ヒスタミンのH₁受容体作動作用に特異的に拮抗する多数の薬物が知られており、抗ヒスタミン薬と呼ばれています。
 
 

化学

 
 
抗ヒスタミン薬に属する化合物は、共通の基本構造としてエチルアミンを有している。
 
 
クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、プロメタジン(promethazine)が汎用薬です。医薬品として用いられている抗ヒスタミン薬の数は多いが、その体内動態や薬理作用はいずれも類似している。
 
 

体内動態

 
 
いずれの薬物も粘膜透過性がよいので経口投与後の吸収は速やかです。単胃動物では経口投与後の血中濃度が1時間以内に最高になり、有効濃度が数時間続く。
 
 
筋注・皮下注後の吸収も速い
 
 
体内分布性も良く、中枢神経系を含むすべての組織に分布する。大部分の薬物は体内で殆ど完全に代謝され、24時間以内に殆ど全量が排泄される。
 
 

薬理作用

 
 
健康な動物に抗ヒスタミン薬とかH₂拮抗薬を投与してもアトロピンやツボクラリンの投与後のような重大な反応はみられない。薬用量投与によって健康動物にみられる反応の多くはヒスタミン拮抗作用とは無関係です。
 
 
どうやらヒスタミンは体内で重要な生理的役割を果たしている訳ではないらしい。
 
 
抗ヒスタミン薬は内因性ヒスタミンが関与すると思われる病的状態に用いる薬物であるから、まずその抗ヒスタミン作用について解説する。
 
 

抗ヒスタミン作用

 
 

脈管外平滑筋
 
ヒスタミンの気管支筋、腸管平滑筋などに対する収縮作用は強力に拮抗される。
 
例えばモルモットにヒスタミンを筋注すると気管支収縮で死亡するが、抗ヒスタミン薬を与えておくと100倍以上のヒスタミンを投与しないと死亡しない。

 
 

循環系
 
ヒスタミンの毛細管透過性亢進作用に拮抗し、浮腫の発生を防止する。

 
 

皮膚
 
ヒスタミンによる皮膚の反応とか痒感は抑制される。

 
 

胃分泌
 
ヒスタミンの胃液分泌促進作用には影響しない。

 
 

抗ヒスタミン作用以外の作用

 
 

中枢神経
 
一般には抑制的で鎮静催眠作用を示すが、用量が多くなれば興奮作用を示す。

 
 

抗動揺病作用
 
乗物酔いなどの動揺病における目まい、運動失調、嘔吐に抑制作用を示す。

 
 

局所麻酔作用
 
どの抗ヒスタミン薬も局所麻酔作用を持つが、一部の薬物ではプロカインより強力です。

 
 

抗コリン作用・抗アドレナリン作用
 
高濃度ではアトロピン様の作用を示す。
 
一部の薬物は抗アドレナリン作用を持つ。

 
 

臨床応用

 
 
●過敏症
 
 
内因性ヒスタミンが関与する可能性のある疾病としてはアレルギー、アナフィラキシーなどの過敏症が挙げられる。
 
 
過敏症疾患では①まずIgEが形成され、②多数のIgEが肥満細胞の表面に付着する。③IgEは抗原の受容体のように働き、抗原と結合すると細胞内の数種類の活性物質を遊離させる。
 
 
④一部の活性物質はさらに別の種類の細胞に働いて別の活性物質を遊離させる。したがって過敏症症状に関与する活性物質は多く、抗ヒスタミン薬だけで治療するのは難しい。
 
 
過敏症に対しては肥満細胞からの活性物質遊離を抑制する薬物、例えばクロモグリク酸とかステロイド系消炎薬で発症を予防する方が有効性が高い。
 
 
アナフィラキシーショックは緊急治療を必要としますが、最も有効性の高い薬物はエピネフリンです。その他の症状のうち、小動物での気管支水腫とか気管支筋収縮にはアミノフィリンが選択される。
 
 
抗ヒスタミン薬は副作用の少ない薬物であるために過敏症性またはその疑いのある各種の家畜疾患に汎用されてきました。そのうちアレルギー性の皮膚疾患に対しては有効であるらしい。
 
 
その他の疾病で抗ヒスタミン薬が有効であると報告された疾病は20以上にも上っているが、その報告の多くは比較試験がなく、疾病ごとに分けると報告数が少ないので有効性の判定が難しい。抗ヒスタミン薬は安全な鎮静薬とか抗動揺病薬(鎮暈薬)としても用いられる。
 
 
投与法は経口投与が最も適しているが、皮下・筋注でも差し支えない。
 
 
特に牛では経口投与では効果が不確実です。

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