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ストリキニーネ(strychnine) ~ 欧米では硝酸ストリキニーネを殺鼠剤として用いているので犬猫の中毒が散発する

ストリキニーネ(strychnine) 痙攣薬

 
 
痙攣(convulsion)という用語はかなり意味の広い用語で、不随意の骨格筋興奮の全てに用いている。
 
 
従って全身の筋の強度の攣縮である強直性痙攣から外見上は行動異常を示すだけの骨格筋の部分的異常興奮までを含んでいます。
 
 

ストリキニーネ(strychnine)

 
 
Strychnos nux vomicaの種子(ホミカ)に含まれるアルカロイドです。
 
 

体内動態

 
 
経口投与でも注射でも吸収は速く、脳脊髄を含むすべての組織に分布します。消失は中程度の速さで、投与後10時間程度で投与量の殆どが尿中に排泄されます。
 
 
尿中排泄される約80%が代謝物であり、残りが親化合物です。
 
 

薬理作用

 
 
●中枢神経

中枢神経の全域にわたって興奮作用を示すが、特に脊髄に強く働く。動物に低用量を投与すると脊髄反射が亢進し、軽い触刺激でも反射が成立する。
 
 
高用量投与では脊髄反射が極度に亢進して強直性痙攣(tonic convulsion)を起こす。
 
 
この反射亢進では軽い空気の振動とか床との接触でも反射を成立させる刺激になる。
 
 
強直性痙攣では拮抗筋の間の協調性がなく、全ての骨格筋が収縮する。元来、頸部や軀体では背側の筋が腹側の筋より強く、前肢では屈筋が伸筋より強く、後肢では伸筋が屈筋より強い。
 
 
したがって強直性痙攣では頭部を後方に上げ、軀体は下方に弓なりに曲がり、前肢を屈曲させ、後肢を伸展させる特有の姿勢(後弓反張 opisthotonos)をとる。
 
 
痙攣発作中は呼吸ができなくなるので痙攣が続けば呼吸麻痺で死亡する。
 
 

その他の作用

神経筋接合部の遮断作用があり、大用量では痙攣発作後に筋弛緩がみられる。

 
 

作用機序

 
 
脊髄内にはRenshaw細胞回路による運動ニューロンの回帰性抑制系がある。
 
 
この抑制系は運動ニューロンが興奮するとその側枝の刺激によってRenshaw細胞が興奮し(伝達物質はアセチルコリン)、興奮したRenshaw細胞の末端から運動ニューロンに抑制性の信号を伝える回路になっている。
 
 
Renshaw細胞の興奮によって末端から遊離される抑制性伝達物質はグリシンであり、ストリキニーネはグリシン受容体において競合的拮抗作用を示す
 
 
運動ニューロンの活動を抑制するRenshaw細胞以外の抑制性ニューロンの伝達物質もグリシンであり、Renshaw細胞と同様にシナプス後抑制によって働くと考えられている。
 
 
これらのグリシン受容体もストリキニーネによって拮抗される。
 
 
したがって、ストリキニーネが作用していれば運動ニューロンの感受性が極めて高くなり、弱い刺激によっても脊髄反射が成立すると説明されている。
 
 

家畜の感受性

 
 
ヒト、犬、猫、豚がほぼ同程度の感受性を示し、皮下注射の最小致死量が0.5~1.0mg/kg程度ですが、馬の感受性はやや低い。
 
 
牛は経口投与では殆ど無効に近いが、皮下注では馬に準ずる程度の感受性を示す。
 
 

臨床応用

 
 
臨床では使用されていない。
 
 
欧米では硝酸ストリキニーネを殺鼠剤(ラットビスケット)として用いているので犬猫の中毒が散発する。
 
 
本邦では用いていない。

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