
洋鳥とくにフィンチ類を飼うためには、是非守らなければならないことが沢山ありますが、第一に注意しなければならないのは脂肪過多にならないようにすることです。
フィンチ類は小型なので、小型の庭箱に入れて飼いがちですが、輸入されるフィンチの殆どは原産地で野生のものを捕らえてきたままのものなので、急に狭い箱の中に入れられると運動不足になって脂肪過多になりやすいのです。
其の上に、大事をとってキビ、粟などのやや栄養に富んだ飼料を多く与え過ぎになるので、ますます悪い条件が多くなりこの為に消化器の障害や心臓疾患で死んでしまいます。また、脂肪過多による繁殖障害も起こしがちです。
此れを防ぐには、まず運動を十分にさせることです。そのためには大きい庭箱を用いることです。また、出来れば禽舎に放して十分に運動をさせる事が大切です。
広い面積を与える事によって、輸入したてのもので巣引した例もありますし、それまで自分で抱卵育雛しなかったキンカチョウが雛を育てた例もありますから、出来る限り大きな庭箱に飼うことがフィンチ類を巣引するコツのようです。
ベニスズメなども、この方法によって繁殖するかも知れません。
脂肪過多を防ぐ方法としては、なるべくヒエを多く食べさせることです。ヒエは鳥の為には栄養に富んでいます。それに比べると、キビや粟は脂肪分多いので、とにかく病気に罹りやすいのです。
フィンチは美しい高価な鳥ですから、良い餌を与えたいと考えがちですが、あまり良い餌を与えない方が親切なわけです。洋鳥は和鳥と違って、糞のために汚れたり、臭くなったりすることは少ないので、なるべく庭箱の内部を綺麗に掃除しないことです。
これは少し変に聞こえますが、その方が鳥が落ち着くのです。巣引の成績なども良いようです。巣引を専門に行っている処では、年に1~2回ぐらいしか掃除をしません。このため庭箱の底にはヒエなどの皮が厚く溜まっています。
フィンチ類は寒さに対してはかなり強い鳥ですが、急な寒さや底冷えのする寒さの時、また、梅雨時の湿った寒さに対しては弱いものですから、この時だけは十分に保温してやる必要があります。
秋口の寒さに対してはあまり注意しなくても次第に耐寒性を持っていきます。フィンチは夜間は必ずと言って良いほど巣に入って休みますから、繁殖期でなくても巣を入れておく必要があります。
鳥の為にはなるべく庭箱で飼うのが良いのです。観賞用のかごでは鳥が落ち着かず、疲れるのであまり長生きしません。冬は、厚い白い布を前面に垂れて寒さを防いでやります。