ワルファリン(warfarin) ~ 慢性的な血栓症の治療(予防)に経口投与で用いる



1920年代にカナダで変敗スイートクローバ(サイレージ)による牛の集団中毒が発生しました。この中毒は全身性の出血斑が特色であり、原因物質はクマリンの誘導体でした。


この知識から経口投与で有効な抗凝固薬として多くのクマリン誘導体が作られたが、ワルファリンがその代表的薬物です。

体内動態



経口投与後の吸収は速やかで高率です。体内では血清蛋白や組織蛋白と高率に結合するので遊離型の薬物濃度は低い。消失速度は遅くて半減期が1~2日であるが個体差が大きい。


主として代謝によって消失する。

薬理作用



化学構造がVKと類似しており、VKに拮抗してグルタミン酸γ-カルボキシラーゼを阻害する。従ってVK依存性凝固因子の生産が抑制されるが、因子の血中濃度は血中半減期の短いⅦ因子が先ず低下し、次いでⅨ因子とⅩ因子が低下する。


この結果、外因性凝固が強く抑制される。


作用の様式が間接的であるから、1回投与より連日投与によって強い作用が現れる。同じ用量の連日投与では4~5日後に平衡に達する。


抗凝固作用以外の作用は殆どない。

臨床応用

慢性的な血栓症の治療(予防)に経口投与で用いる。

過量投与は危険であるから外因性凝固の指標であるプロトロンビン時間(PT)を測定し、正常値の2倍程度に延長する用量を個体別に求めて投与する必要がある。

殺鼠薬としての応用

ワルファリンは最も汎用される殺鼠薬です。作用の発現に時間を要するので数日間にわたって摂取させる。

初期症状として眼底出血を発症するために明るい場所に出て死亡する。

VK拮抗物質中毒

合成化学物質とか自然毒にVK拮抗作用を持つ物質が多く、家畜が中毒することがあります。

一般に外因性凝固が阻害された時の症状は激しく危険です。

最も多い例は犬猫のコクシジウム症の治療にスルファキノキサリン含有の鶏用コクシジウム治療薬を用いたための中毒で、治療用量を数日間投与すると全身性出血で死亡する。


その他の薬物


アスピリン

アスピリンの小用量は血管内皮のPGI₂の合成には影響せずに血小板のTXA₂の合成を阻害するので、凝固時間を延長させる。

血栓症の危険のある患畜や慢性血栓症に用いる。

投与計画が正確であれば薬用量の連続投与によって長期にわたって全血凝固時間(WBCT)を2倍程度に延長することが出来る。

血清中に出るTXA₂の代謝物(TXA₃)をモニターする方法もある。

アスピリンはアルキル化反応によってシクロオキシゲナーゼを阻害するので非可逆的です。通常の細胞ではアスピリンが消失すれば直ちに新しい酵素が合成される。

しかし血小板は酵素合成能を欠如するので一度阻害されると戻らない。但し血小板の血中寿命は2日であるから、2日後には新しい血小板に置換わり、アスピリンの阻害がなくなる。

ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ(urokinase, streptokinase)

ウロキナーゼは人由来、ストレプトキナーゼは細菌由来の蛋白分解酵素です。

いずれも静注すると血漿中のプラスミノーゲンからプラスミンを生産する

肺や脳の血栓症に静注する。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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