ウズラ、シャコ類の飼い方・増やし方

ウズラ、シャコ類の飼い方・増やし方
ウズラ、シャコ類の飼い方・増やし方

ウズラは小さい鳥ですから、飼育場も小さい面積があれば間に合うのが特徴です。飼育には金網床で飼う場合と、普通の土の上で飼う場合とがありますが、土地が砂地で、良く乾燥する地域以外この鳥は金網床で飼うのが安全です。


広さは縦横が60cmに1.2m、高さが60cmのケージで、1ペアを飼いますが、床を成鳥ならば1cmくらいの網目、雛ならば5mmくらいの網目の金網として土から離します。


土と金網の間隔は下に落ちた糞の掃除ができる程度で良く、また此の金網床のケージは移動できます。こうすることによって、下からの細菌や病原菌に侵されなくなり清潔になります。


また、何日も掃除しなくても良く大変手間が省けます。その代わり、1週間に2度、グリッド(砕石)を飼料に混ぜ、また、1週に1度砂箱をケージ内に入れて砂浴びをさせます。長日月雨に当てないでおりますと、ウズラは羽が逆巻いて見苦しくなりますから時々雨に当てることも大切ですが、夏季ならば羽が逆巻いた時は水を噴霧器で体羽にかけると治ります。


餌は細粒が良く、普通はマッシュで良いですが雉類より高蛋白質のものを与えます。野菜を細切りしたものかアルファルファの粉末を飼料に混ぜるのも大変結構です。


産卵は雉類より遅く、4月下旬か5月初めから始まり、9月末まで続き、しかも最後の1卵まで有精卵が得られ非常にウズラは強精であることが解ります。また、無精卵が非常に少なく、全卵が有精であることもあります。


1ペアのボブホワイトから1シーズンに100羽の雛がとれたことがあり、1ペアのヅアカカンムリウズラから24羽の雛をとった経験もあります。ボブホワイトより、カンムリウズラの方が産卵・有精度・孵化率は何れも悪いものです。


産卵は毎日または隔日に1個します。ボブホワイト類は白色無斑卵ですが、カンムリウズラ類は赤褐色の斑点があります。大きさと、重量は次の通リです。

ボブホワイト:9.6g 3.4 x 2.3cm 無斑白色
白ボブホワイト:8.4g 2.9 x 2.4cm 無斑白色
金毛ボブホワイト:8.6g 2.8 x 2.4cm 無斑白色
白胸赤コリン:9.0g 3.0 x 2.4cm 無斑白色
赤ボブホワイト:11.5g 3.2 x 2.5cm 無斑白色
カンムリウズラ:9.2g 3.1 x 2.4cm 灰褐色斑
ヅアカカンムリウズラ:9.3g 3.0 x 2.4 黒褐色斑
クリハラウロコウズラ:11.0g 3.3 x 2.5 非常に細かい赤褐色斑
ツノウズラ:12.5g 3.5 x 2.6 無斑白色
アリゾナ白マダラウズラ:9.0g 2.8 x 2.4 無斑白色


記録によりますと、ウズラはエジプトで昔から人間に知られています。まずコレクションですが、卵で購入するのが一番安価です。または、生後1年位の若鳥を分けてもらいます。


この雛は非常に小さいため、生後数か月の雛では死なす恐れがあります。近年は航空便での輸送も可能で、海外から卵を輸入し、孵化する事が可能です。卵の孵化は孵卵器の場合と、仮母として矮鶏を使う場合があります。


ウズラ卵は孵化の時期が来ますと、短時間の内に一斉に全卵が孵化して雛が出現します。これを孵卵器の窓から中を覗いていますと、壮観です。ウズラ卵が一斉に孵化することについて面白い研究が英国でなされました。


それは、ケンブリッジ大学のマーガレット・ヴィンストンさんが、ウズラの卵は孵化48時間前から互いにシグナルを送るという事を証明したのです。すなわち、卵黄が孵化48時間前からブチブチという音を出し、この音が孵化時間を遅速するのだろうというのです。


この音は卵の殻を内部で叩く音ではなく、呼吸から来るもので卵は此れによって動きますが孵化を早める説明はできても遅くする説明が困難で、マーガレットさんは更に研究を進めると言っていました。


孵卵器内の温度は、平面孵卵器は103°F(39.4℃)、立体孵卵器は、99.5°F(37.6℃)で、±0.5°F(±0.3℃)の誤差は許されるでしょう。低すぎる方には割り合い抵抗がありますが、高温すぎる方は、103°F(39.4℃)が適温の場合、104°F(40.0℃)を超えて、2時間も放置すれば胚は死にます。


低温の方は、室温まで冷却して、5時間位放置しても、再び適温に調節すれば無事に孵化するものです。湿度の方は、両者とも65%位が適当です。


ウズラは24日前後で孵化します。最初の検卵は、1週目に致します。途中でもう一度検卵の必要があります。転卵については1日4回です。孵化した雛は、雉の雛と比べても著しく小さいものですから、雉類の雛より病気に罹りやすく注意が必要です。


従って、24時間以上孵卵器内に放置しその後で、育雛器に移します。育雛器の温度は最初の1週間は39℃の部屋に置き、徐々に温度を下げます。自動温度調節器付の恒温の部屋に収用してもよく、又、赤外線かヒヨコ電球を部屋の天井から吊り下げても良いです。


この後者の場合は、温源からの距離によって温度が下降しており雛の各日齢に応じた適温帯が出来ております。


床は特に細かい金網床として、餌は最初の5日位はキッチンペーパーを敷いてこの上にバラ撒きます(新聞紙等はツルツルで滑るのでダメ)。餌は、市販のチックフードを水で固練りしたものを用い、これに卵黄を固く煮ぬいたものを振りかけておきます。


育雛のやや困難なカンムリウズラ類は尚、ドッグフードをお湯で柔らかくしたものを此れに添加して与えると、育ちが良くなります。卵黄やドッグフードは生後2週間位与えて、後は、チックフードだけで良いでしょう。


生後、5日位から青菜を細切りにしたものを与えます。なお、初の餌付けは生後48時間目に行います。水は生後24時間目から与えて良いでしょう。これにはサイフォン式の小さいものを使います。


カンムリウズラの雛は最初から羽冠を持っており、ボブホワイトの雛とは此れで直ぐ区別がつきます。ボブホワイトも羽冠があるのですが、これは普段は毛を寝かせており、見えません。


時々、毛を立てると僅か羽冠の存在が解ります。生後1ヶ月頃から中びな用の飼料に置き換えます。全体を通じて大切な事は、孵化育雛の設備はできるだけ清潔にして良く消毒されてあることで、此れも重要な成功への要素となります。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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