尿石症の治療法
①対症療法ないし保存的療法と、②外科手術によるものに分けられます。
(ⅰ)まず尿道閉塞による尿毒症などの症状に対して応急処置を施す。この他、鎮痛剤、止血剤、抗生物質、、大量のビタミンAなどの投与、結石溶解剤の注入に加えて小動物のストルバイトでは、結石溶解性の処方食が抗生物質と組合わせて用いられる。
その他尿酸性結石の時は蛋白の多すぎる飼料を減少したり、無機結石のある時はCaの少ない飼料を配慮したり、塩化アンモニウムなどを添加して尿を酸性にし、蓚酸性の結石の時は飼料を蓚酸の少ないものに変えるなどの保存的療法を考えます。
その他結石を除去するための圧力推進法を行うこともあります。
(ⅱ)外科手術的処置は、膀胱に集まった結石あるいは尿道を閉塞しているものをそれぞれ切開し、有視下に除去するのが第一の目的です。
このことにより、急性慢性の症状を改善し、経過を良好にする。すなわち、各動物の結石の特色を考慮しながら、別記の種々の手術術式を応用する。
雄馬の場合は通常坐骨彎曲部付近で尿道切開を行う。雄牛、雄山羊では、包皮に近いS状彎曲部付近ないし会陰部で尿道切開を行うことが多い。
雄犬では開腹して膀胱切開を行うか、上部の坐骨彎曲部付近か下方の陰茎の亀頭球付近で、尿道切開を行うことが多い。
予防法
穀類(白米など)を多給すると、リンの含有が多いためにリンとカルシウムのバランスがくずれるから、これを矯正するためにカルシウムの豊富な牧草を多量に与える。
これはまた尿道を増す効果もある。
飲水を十分に与えるが、硬水は不適です。乾燥地帯では、暑熱時にビタミンAを補給する。飼料1トンにつき、クロールテトラサイクリン20mgを混ぜて給与すると、尿石の形成を防ぐ効果があるといわれている。
また、肉牛、羊では去勢実施の時期を延期して尿道の発育をはかるのがよい。