ぺっとくすり

ヘルニア(Hernia) ~ 臍ヘルニア


臍ヘルニア(umbilical hernia, omphalocele)



馬、牛、豚、犬、猫に生後まもなく発生することが多い。分娩時またはその直後に発生するものは多くは先天性で、またしばしば遺伝性です。

原因



臍輪の閉鎖が不十分で臍輪が異常に大きい。なお、新生畜において、便秘や飛越運動などによる腹圧の急上昇が原因となることがあります(後天性)。

症状



臍輪がヘルニア門となり、明らかにそれを触知することができる。鳩卵ないし鶏卵大で2指がはいり、あるいは紡錘形で3~4指がはいることがある。


ヘルニア嚢の外層は皮膚、内層は腱膜および腹膜からなる。ヘルニア内容は小腸がもっとも多く、大網がこれにつぐ。その大きさは、子犬ではくるみ大ないしりんご大、子馬・子牛では拳大ないし小児頭大となる。


その腫脹は円形隆起で、柔らかく、疼痛・熱感がなく、圧縮することができ、還納性です。内容が小腸の時は波動を呈し、蠕動音を聞くことがある。


大網の場合には柔軟ではあるが波動性がなく、時には癒着している。


ヘルニア内容の癒着あるいは嵌頓がおこると、ヘルニア嚢およびその周辺に腫脹が現れ、また小腸の嵌頓によって、腸内容の通過障害がおこれば、疝痛症状を現す(腸閉塞)。


しかし、臍ヘルニアでは嵌頓をおこすことが比較的少ない。


一般に予後は良好ですが、嵌頓をおこした時は、疝痛症状を反復し、予後は疑わしい。還納性を保っているが、ときどきヘルニア嚢が硬くなり、腹痛を伴うことがある。これは一時的腸内容の通過障害による。


またヘルニア嚢に外傷をうけ、あるいは誤って穿刺し、そのため膿瘍、腸瘻を形成することがあります。

治療法



臍ヘルニアは小さいものは、生後1ヶ月の間に自然に治癒することがある。また生後6~8ヶ月までの間に自然治癒する例も少なくない。したがって、小さいヘルニアは6ヶ月以上経過を観察し、治癒しない場合に、はじめて治療を行うのがよい。


しかし、著しく大きいものあるいは次第に増大する傾向のあるもの、また局所に炎症症状が現れた場合、もしくは全身症状を呈したものでは、ただちに治療する必要があります。


ヘルニア帯、あるいは圧定包帯による固定は、動物には確実な効果を期待しがたい。また患部に皮膚刺激薬の塗布、あるいは濃厚食塩水の皮下注射などを行う時は、強い炎症症状を発してあとに癒着をのこし、好ましくない。


(ⅰ)無血的手術:牛および馬では搾木による圧定法が応用される。これは非観血的で術式が簡単です。起立または仰臥あるいは半仰臥姿勢に保定し、木製・竹製・金属製などの搾木を用いる。


搾木圧定にあたっては、ヘルニア内容をはさまないように注意し、また搾木の早期脱落を防止する。搾木装着後、いったん著しく腫脹するが、10~12日で自然に壊死、落下する。


雄の場合には陰筒に接近しているため、搾木をほどこすことに困難が多い。この場合には、いったん搾木で固定したのち、その直上の皮膚に重複連続縫合をほどこして搾木をはずすか、または観血的手術を行う。


なお、ヘルニア門の小さいものでは、ヘルニア内容をはずし、ヘルニア嚢の基部をゴムひもで強くしばる方法もあります。


(ⅱ)観血的手術:嵌頓または癒着がある時、搾木による圧定法が実施困難な時には、ヘルニア嚢を切開して、ヘルニア輪の閉鎖をはかる。


小動物では還納性のものでも、一般に観血的手術が行われます。


局所を切開した後、ヘルニア内容を腹腔に還納し、ヘルニア輪を構成する腹膜、腱膜および皮膚を順次縫合する。この縫合法には、種々の術式が行われている。


縫合後は化膿およびヘルニア再発を防ぐことに、特に注意しなければなりません。ヘルニア門が異常に大きい時は、ナイロンのmeshなどを用いalloplastyを行うことがある。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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