トキサフェン
トキサフェン Toxaphene Octachloro-campheneの分子式はC₁₀H₁₀Cl₈でクロールデンと類似した性質を持ちます。
テルペン混合物の塩素化によつて得られChlorinated campheneともいわれます。
メトキシクロール Methoxychlor
DDT類縁化合物の一つで、構造式はDDTのp-p´の位置が塩素の代わりにメトキシル基の入ったもので、メトキシDDTとかメタセンと呼ばれます。
殺虫力はDDTに劣りますが、選択的に或る害虫に向かって有効なためアメリカでは実用化しています。
温血動物に対する毒性はDDTの1/20といわれ、家畜の外部寄生虫駆除に用いられます。
DDD Dichloro-diphenyl-dichloro-ethane
本剤もDDT類縁化合物のひとつです。
DDDの特徴は殺虫力に選択性があり、サヤムシなどにはDDTに劣らぬ効果があります。
温血動物に対する毒性はDDTに比べて1/12~15といわれていますが、利用されないようです。
製品の外観は、DDTとほとんど同じです。
D-D Propylene dichloride C₃H₆Cl₂
D-Dは土壌殺虫剤として従来の塩化ピクリン、二硫化炭素などの燻蒸剤の欠点を補う薬剤として1940年ハワイのパイナップル園のネマトーダ駆除薬として試用したものの中から発見されました。
本剤はアメリカ、シエル会社のものでAllychlorideの副産物で、1,2-dichloropropaneと3-dichloropropeneの混合物から成立っているためD-Dと名づけられました。
しかし本剤は土壌中の細菌、カビ類には無効ですから、土壌感染の病菌消毒には効果が期待できません。
性状
D-Dは黒褐色の粘性液体で沸点96℃、水に難溶、鉱油性の特臭があり、有効成分は上述の通りdichloropropaneとdichloropropeneの混合物で他に類縁物質が若干含まれます。
揮発性を有しますが一般の燻蒸剤のように速やかに揮散せず、土壌中では吸収されることが少なく、土壌の間隙を通って分散し、しかも適当な期間残存されて殺虫の目的を達します。
毒性
本剤は直接接触すれば有害で作物はもちろん、人畜に対し付着や吸入によつて障害が起きます。
したがって皮膚などに付着した場合は直ちに石鹸などで良く洗浄しなければなりませんが、粘着性が強いので落ちにくいです。
土壌に対する使用基準は地面に30cm毎に15cm位の穴をあけ、これに原液2~3cc位を直接注入するので、反当り2.2~3.4kgです。