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乳頭の外科疾患(治療) ~ 乳頭瘻・乳頭の挫滅創、乳頭の完全または不完全離断、乳頭の組織欠損による乳頭管の露出・乳漏・乳頭内の病変


乳頭瘻(teat fistula)



無処置のまま放置された搾乳中の乳頭の穿通創は、乳頭瘻になることは避けられず、またほとんどすべての例で乳房炎が発生する。


これに対しては、乳頭の創の保存的治療と乳房炎の処置を続けて、可能な場合は乾乳を待って根治手術を行います。その間、焼灼器、硝酸銀などの適用は良い結果をもたらさない。


乾乳期に、瘻管の周囲を紡錘型に切除して縦創とし、前記のように縫合する。


しかし、瘻管周囲の結合織増生が著しい時には、術後に乳頭の変形あるいは乳管洞の狭窄がおこって、良い結果が得られない。


なお、先天性の乳頭瘻は、乳頭壁に存在する腺組織とつながっていて、乳管洞には達していない。乳頭瘻の治療前に、あらかじめ色素液を注入して、先天性かどうかを鑑別することが必要です。


先天性乳頭瘻の処置は、手術によるよりは、アクリジン色素あるいは硝酸銀溶液を注入して深部の腺組織を破壊する方法による。泌乳する副乳頭についても同様です。

乳頭の挫滅創、乳頭の完全または不完全離断、乳頭の組織欠損による乳頭管の露出



これらの症例では乳頭の切断術が必要です。乳頭を根元から切断する場合と、短くなっても乳頭の一部をのこす場合とがあります。乳頭の付着が良型ならば、少なくも2.5cmの長さをのこせば、器械搾乳も可能とされています。


乳頭を中途で切断する場合には、挫滅または離断した部分の上で長軸に直角に切り落とし、太い血管は結紮する。突出する粘膜上皮は、断端の癒着と閉塞を防ぐため切除せずにのこして、皮膚と縫合する。


乳房炎防止のため、毎日抗生物質を乳管洞内に注入する。


初めの数日は日に2~3回乳房マッサージして泌乳を刺激する。術後8~12日間は乳の漏出が避けられない。そのあと約5週間は時間をきめて手で搾乳する。


なお乳頭炎、乳房炎が著しい時は、それがなおるまでまたは乾乳期まで手術を延期する。


乳頭を根元から切断したあとは、皮下の筋結合組織から粘膜までを皮膚創を底辺とする円錘形に切り込んでから、大量の抗生物質を注入した上で、前記と同様に皮膚をマットレス縫合で閉鎖し、創を被覆する。


そのあとで乳房炎が発生した時は、治療前に毎回カテーテルを挿入して排液をくりかえす。化膿性乳房炎がおこった時には、創を開放して治療する。

乳漏(incontinentia lactis)



乳頭切断後(前記)のほか、乳漏は種々の原因で発現する。


高泌乳牛でミルクが大量に貯溜した時におこる場合には、搾乳回数をふやす。


狭窄した乳頭管を拡張する粗暴な操作などによる外傷性のもの、また先天性あるいは老齢に基因する乳頭口の弛緩によるものに対しては、乳頭に指サックをかぶせる


コロジオンを塗布する、乳管洞の周囲組織にルゴール液を注入する、巾着縫合をほどこすなどの処置が行われます。

乳頭内の病変(interior lesions of the teat)



ロゼットの弁形成および副乳腺組織の肥大は、軽度の場合には乳頭手術器具を使って乳頭管経由で、また重度のものは、乳頭を切開して、切除する。


輪状ひだの異常の治療にも、乳頭を切開する必要がある。


これらの処置は、あらかじめ細菌検査と乳房炎の治療を行った後に実施することが必要です。実施の際には、牛の鎮静法、局所麻酔、無菌操作が要求されます。


しかしこれらの治療も、乳管洞乳頭部が閉塞しているもの、あるいは瘢痕収縮のために狭窄しているもの、乳房の慢性浮腫の結果として皮下の結合組織が増殖して乳頭が細く硬化しているもの、また乳管洞乳腺部にポリープ状の肉芽組織の増殖が顕著な場合などでは、予後不良であるから実施すべきではなく、禁忌と考えられます。


なお、手術のために生じた新しい創面の癒着を防ぐためには、術後に手搾りを行うことが不可欠であるから、手術は泌乳期に実施すべきで、乾乳期にはむしろ行わない方がよい。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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