ゴケグモ属 (ラトロデクタス:Latrodectus) やドクイトグモ (ロクソセレス・レクルサ:Loxosceles reclusa) などの毒グモによる咬み傷は、咬まれた場所、ウマの大きさと年齢、クモの種類によって重症度が異なります。
●クロゴケグモ
クロゴケグモに噛まれると、強力な神経毒であるアセチルコリンとノルエピネフリンが馬に注入されます。その結果、筋肉の痙攣や麻痺が起こります。腹部の硬直と疼痛は、クロゴケグモによる毒の典型的な症状です。
●ドクイトグモ
ドクイトグモに咬まれても痛みはありませんが、咬まれてから2~6時間以内に、咬まれた場所に局所的な痛みと発赤の徴候が現れます。
12時間以内に水疱が現れ、やがて典型的な「ブルズアイ:Bulls-eye」になります。
1~2週間以内に、咬まれた部分の皮膚が潰瘍化して壊死します。組織死は最初の咬傷をはるかに越えて拡大する可能性があり、組織が実質的に壊死した場合には、患肢全体が侵されることがあります。
傷の治癒は数カ月にわたって非常に遅く、二次感染のリスクが高まります。
クロゴケグモの姿
クロゴケグモのメス(噛みつくもの)は、体長が約2.54センチメートル。
光沢のある黒で、腹部の下側に赤または赤橙の砂時計型のマークがあります。また、腹部の上部、出糸突起(糸を紡ぐ器官)の上に赤い印があるものもあります。
若い雌のクモは茶色がかった色で、腹部の上部には赤、オレンジ、または黄色のストライプがあります。
これらのマークは、クモが成熟すると砂時計型に変化し、黒色に変化します。クロゴケグモは、納屋、木材や水桶の下などでよく見られます。
ドクイトグモの姿
背中にバイオリンの形をしたマーキングがあることから、「バイオリン」とも呼ばれています。
体色は茶色で、体の上部にバイオリン状のマーキングがあり、バイオリンのネック部分が尾の付け根まで伸びています。すべてのドクイトグモにこのマーキングがあるわけではなく、例えば、若いドクイトグモにはありません。
また、これらのクモは目が3つではなく6つという独特のパターンを持っています。体長は2.54センチメートル以下で、脚は非常に長い。
これらのクモは臆病で、通常は攻撃的ではありません。
夜間に最も活発に活動し、噛まれるのは通常、クモが敷科に挟まり、馬が馬房の中でその上に寝そべったときです。
症状
●運動失調 (協調運動障害と起立能力の喪失)
●麻痺
●筋肉のふるえやけいれん
●落ち着きがない
●嚥下困難
●仙痛
●呼吸窮迫
●過剰な流涎
●けいれん発作
●血圧と心拍数の上昇
治療
※創傷管理
傷口の周りをきれいにして、クリップで留めます。活性炭をペースト状にして傷口全体をコーティングします。
また、12時間ごとに希釈したポビドンヨード(ベタジン)で消毒します。ハーブのオオバコとエキナセアチンキ液を使って局所湿布を作ることも検討してください。
湿布を体に固定して、この非常に強力なハーブ溶液が傷口に継続的に接触するようにすることをお勧めします。噛まれた傷が治るまで、1日3~4回湿布を交換し、もちろん1日2回消毒します。
※抗蛇毒素(Antivenin)
クロゴケグモに噛まれたときに投与されることがあります。
※10%グルコン酸カルシウム液
※疼痛管理
※支持療法
※高圧酸素
傷の治りを早くし、重症の場合は回復を助ける効果があります。