ジンマ疹(蕁麻疹)urticaria
牛の乳房には、早春の寒風にさらされる、いらくさ、吸血昆虫、毛虫に刺されることなどが原因になって、ジンマ疹が発生することがあります。
また食餌性(若いライ麦、馬鈴薯の芽、水の不潔な草地に生えた草、腐敗した飼料の採食)におこった全身性中毒の症候の一部として、あるいは腸炎、子宮炎、腟カタルに付随して、乳房にジンマ疹を見ることがあります。
さらに、ツベルクリンの注射、ペニシリンとストレプトマイシンの合剤の乳房内注入、あるいは乾乳が原因となることもあります。
急性のジンマ疹のなかには短時間内に自然に治癒するものもありますが、原因の局所性または全身性を問わず、原則としては、抗ヒスタミン薬、グルココルチコイド、カルシウム剤(静注)などによる治療を行う。
また吸血昆虫の防除も大切です。
光過敏症(photosensitization)
牛、羊、山羊がアルファルファ、クローバー、ソバ、カラスノエンドウなどを採食したあとで強い日光にさらされた時に、白色の乳房と乳頭に皮膚炎がおこることがあります。
特に乳頭が強く冒されて、発赤、腫脹、帯熱、疼痛があり、牛は落ち着かずたえず後肢を踏みかえ、乳房を尾で振り払ったり、後肢で蹴ったりします。泌乳量が著減する。
時間がたつと皮膚に水疱や痂皮が生じ、また壊死に陥って2~3週間の間に暗褐色ないし黒色を呈し、乾燥して硬くなり、ついに剝落することがあります。
病初には、泡を含む多量の流涎、口・咽喉・膣・肛門の周囲の皮膚の腫脹もみられる。またフェノチアジン系トランキライザー投与後に日光にさらされると発症するともいわれています。
治療は、病変の進行を抑えて、乳頭の損傷の悪化を防ぐため、なるべく早期に開始することが大切です。何よりもまず動物を日蔭に移して、患部を冷却し、カルシウム剤を注射する。
次いで、患部にコルチコステロイド軟膏(またはクリーム)を塗布する。
抗ヒスタミン薬も効果があるとされています。
しかし、いったん病変が進行すると搾乳が可能になるまでに完治することは難しいから、放牧場、運動場に日蔭を設けて予防することがもっとも大切です。