雄と雌の見分け方

雄と雌の見分け方
雄と雌の見分け方

雉類は一般に羽色と体の大きさから、雌雄の判定は容易で、生後一か月もすればベテランでなくても判定できます。しかし、外観では同形同色で同性としか考えられない場合に如何にして雌雄の区別をするのか?


此の区別が出来れば、新しく鳥を買い入れる場合に非常に便利です。長年飼ってみて一つも産卵しないとか、或いは卵を産んでも有精卵が得られなかった事から、多分これは同性だろうと考えて、2羽のうち何れか一方を取り替えて、又数年様子を見てみるというようなやり方では、長年にわたる苦心の末やっと1ペアが入手出来たり、出来なかったりになります。


鳥類は、肛門の事を総排泄口といいますが、この中に性器が入り込んでいて外から性器を見る事が出来ません。この為、雌雄の区別は羽色によります。幸い雉類は雌雄で羽色と体形、大きさに大きな違いがあってこれで簡単に区別がつきます。


生まれたての雛は区別がつきませんが、割り合い早く、大体1ヶ月もすれば雌雄の区別は外観で出来るようになります。ところが雁・鴨のような水鳥類になりますと雌雄同形同色の事が多く、僅かに雌雄異色の事がある位です。


肛門鑑別法が最も確実ですが、尚、肛門鑑別によらないで区別する事もできます。


これには長年の経験を有するベテランでないと難しいです。鳴き声、羽、嘴における斑文とか、嘴の湾曲具合、眼球、眼の虹彩などにおける相違から普通の人が全く同一と見る場合にも、ベテランは区別する眼をもっています。


肛門鑑別法は、鴨とか大きい雁ならば性器も大きくて区別は容易ですが、ヒメハクガン、ミカドガン等は性器が小さくて区別が難しく、また性器が大きくても、肛門の奥深く入っている場合、例えばリュウキュウガモとか鶴などでは肛門を開いてみる事が難しく、区別が困難です。また、生後間もない時分の雛も性器が小さくて、鑑別には特別の経験が必要です。


しかし、生後数日後、正確にこの肛門鑑別法で雌雄の区別ができれば、この際に雄は右翼を、雌は左翼を切れば、以後終生外観で簡単に雌雄の区別ができます。また、左右の脚に足環をはめて区別するのも良い方法です。


鳴き声での判別については、生後間もない時分は雄は鳴き声を出しませんが、雌は母鳥と同じガアーガアーと云う鳴き声を出します。また、雌の鳴き声は高くて、メロディーに富んでいます。


また、雄の鳴き声は年齢と共に変わりますが、雌の方は変わりません。人間の場合でも男の子は声変わりしますが、女の子は致しません。しかし、注意深く声を聴くと同一の鴨でも同じ鳴き方はしません。


鴨類は生後2ヶ月位までは雌雄は皆外観同一でありますし、成鳥も同一羽色の場合が多いのです。リュウキュウガモのような特殊な格好の鳥では、脚から尾の基部までの曲線ででも、雌雄の区別がつきます。


また、鳥によっては夏と冬で羽色を変えるものがいます。つまり夏羽と冬羽がある場合、非繁殖期の夏羽の間、雌雄の区別が難しくなります。


しかしオシドリは夏羽の間(エクリプスと言います)でも嘴の赤味が残り、雌雄の区別ができます。雄の嘴は夏の間、赤色または黒味を帯びてきますが、雌と区別するには十分です。アメリカオシドリでは、眼瞼の黄色が雄の良き目印になります。


マガモやオナガガモ等多くの鴨類では、雌の嘴の基部近くの側面に斑点があることから、雌雄の区別ができます。多くの場合、眼の色もまた雌雄の判別に役立ちます。


また横腹の羽の色と模様に相違がある事もあります。翼における目立つ斑点、または斑文も判別に役立ちます。例えば、エジプト雁は胸に栗色の斑紋があり、此れが雄は雌より大きくて色が濃いことから区別ができます。エクリプスの間、潜水鴨類の雌雄判定は非常に難しくなります。


またある人は、カオジロガンの場合、上嘴は雄は凸状で雌は凹状をなしていると言っております。又、求愛のディスプレーの様子も雌雄判定には大いに役立ちます。


生後どの位の日数が経てば雌雄の判別が出来るかという事は、その人の能力によって様々ですが、多くの人々は生後24時間後に肛門鑑別法で解るとのことです。


この肛門鑑別法によらないで、外観とか鳴き声による場合は大体2ヶ月後に判別出来るようです。それから卵を破らなければ解らないのですが、胚での性別は孵化前にできます。


肛門鑑別法についてですが、此れは一般の人は難しく考えますが、また実際にも習熟を必要とする方法ですが予めマガモとかアヒル、ガチョウなどで経験を作っておけば割り合い簡単に出来ます。


幸い鴨、雁、スワン等の雌雄同形同色で外観雌雄の区別をしにくいものほど性器は良く発達していて、性器は見やすいものです。ふ化直後の雌雄の場合、ペニスの色は白か黒で、長さ、1.5mm位ですが、成鳥ですと2.5mmはありザラザラした粒状で雁の場合は小さいミミズの様に見えますが、鴨の場合は細くて糸のようです。


雌の性器は小さい吹出物の様ですが、表面に艶があり、円くて肛門の内部の両側に少し高くふくれていて、中央に輸卵管に達する穴があります。雌の肛門の色は赤味がかっており、雄に比べて幅が広いのですが、雄の方は細くて硬く、少し高くなっております。


性器は組織の鞘の中に入っており、外から見えませんから此れを出すためには相当の圧力を加える必要があり、鳥は綿毛の儘で、飛翔の羽が生えかける直前位が一番鑑別が容易です。


また、圧力を加えすぎると、性器を傷め、また卵黄の袋を破って鳥を死なす事もありますので、適度の圧力と加える方法は習熟しておかなければなりません。


実際の操作は、小さい鳥ならば両手の上に鳥の背を下にしてのせ、両手の親指で肛門を開くのですが、大きい鳥ならば机の上に背を下にして鳥を寝かせて行いますが、此れだと一人が鳥を保持し、他の一人が肛門を開くことになり二人必要です。


一人で行う方法は、鳥の頭を下にして、腕のわきに抱えるとか或いは両足の膝の間に鳥の頭を下にし、且つ背を自分の体と反対に向け、鳥の肩が膝頭に固定されるように保持します。


両手の中指で、尾の基部の後ろを押さえ、人差し指を肛門の前に置き、尾とか、肛門の毛を向こうへ押しのけながら、外側に肛門を広げるような動作をして、特に前に圧します。


この際、肛門の筋肉は抵抗して、縮む動きをしますが、更に力を加えますと肛門が開き性器が露出してきます。雄の場合、性器・ペニスは突出しますが、雌の場合は円くて光沢のある小さい吹出物の様に肛門の内部に少しふくれて見えますから、雄と間違うようなことはありません。


雄の肛門は開き難いものですから、開きにくい場合は雄だと殆ど断定できます。


肛門を開いて中を見るには医療用の鼻検鏡を使うと便利です。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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