骨の栄養障害(Metabolic Disorders of Bone) ~ クル病(佝僂病)rickets


クル病について



クル病はビタミンDの欠乏によって発するカルシウムおよび燐の代謝障害、すなわち腸管からのカルシウムおよび燐の吸収の停止または減退が原因となっておこる全身病であって、それによる変化は骨にもっとも著明に現れます。


本病はビタミンDの欠乏以外に、環境にも関係があると考えられています。


家畜のうち主として幼犬、幼豚に頻発し、しかも哺乳末期のものに多い傾向があります。羊、山羊にも発生するが、牛、馬も罹患することがあります。


骨の病変は、骨の成長期において、しかも成長のさかんな骨の、成長旺盛な部分におこる。


したがって、長管骨すなわち上腕骨および尺骨の上端、橈骨および尺骨の下端、大腿骨の下端、脛骨の上・下端ならびに肋骨肋軟骨境界部に高度に出現します。


骨膜および骨内膜の営む骨新生の経過中における石灰沈着の欠如、ならびに骨端軟骨線(中間軟骨帯)における軟骨内骨化機転(endochondral ossification)の障害によって類骨組織(osteoid)が多量に集積し、その結果、骨は柔軟で屈橈しやすくなり、成長が遅滞または停止し、かつ変形するに至る。


長骨は太く短く軟らかくなり、外力によって彎曲し、不全骨折を生じ、また骨端は腫大し骨幹は肥厚し、関節の拘縮がみられます。


扁平骨も同様に類骨組織が増生して肥厚し、あるいは菲薄になる。


治癒におもむく時は類骨組織層は石灰化し、かえって硬化するものです(象牙質化eburnation)。

症状:



骨に現れる変化が著明で、脊柱の上方、下方あるいは側方彎曲、肋骨肋軟骨境界部の膨隆(クル病性念珠rachitic rosary)、長管骨骨端部の腫脹、四肢長骨の変形による異常肢勢(x状肢勢、O状肢勢、山羊蹄、熊脚など)が認められます。


なお肋骨は扁平になり、胸骨は下方に突出し、また骨盤の奇形、頭骨ことに上顎骨の膨隆などを呈するものもあります。


X線像はまた定型的で特徴がある。


骨は石灰質に乏しいため、その陰影が淡く、海綿質および皮質の境界が正常より不鮮明であって、骨梁網が粗にみえる。


また病機のさかんな時期には長管骨の骨端軟骨線が幅広く、とくにその中心が広いため、骨幹端は盃状に拡大し、骨端は扁平になる。


治癒に向かった場合は骨端軟骨線は狭小となり、骨幹端の盃状は軽度になって帯状を呈し、陰影は濃化します。

診断:



早期においては、診断はかならずしも容易ではない。


肋骨のクル病性念珠、脊柱の彎曲、四肢の変形、関節の膨大などをきたしたものでは容易であり、X線像によって明確な判定を下すことができます。

治療法:



早期にビタミンD剤およびビタミンA、Cを給与するとともに、均衡のとれた飼料を与える。


草食動物には良質の青草あるいは牧草を給与する。また日光と新鮮な空気に親しませる。紫外線照射を行うこともあります。


すでに骨の変形はおこっているが、いまだ硬化固定していない時には、持続的牽引やギプス包帯によって矯正をはかる。


固定した変形に対して、とくに犬においては骨切り術(osteotomy)も考えられます。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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