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膀胱後屈(後傾)・膀胱の腫瘍・尿道の疾患・泌尿器系の手術


膀胱後屈(後傾)retroflexion(retroversion)of the bladder



膀胱の軽度の後屈(後傾)は犬にみられるもので、会陰ヘルニアに至らないものです。雑犬では前立腺肥大、便秘の際に強い努責をたびたびくりかえす結果、膀胱は上後方に押し上げられて直腸と前立腺の間に移動する。


雌では妊娠、便秘によって膀胱が膀胱子宮窩に移動する。その結果、会陰はわずかに隆起するが真の会陰ヘルニアとは区別される。


内容が空虚になると膀胱は旧位に復する。しかしまれには膀胱がねじれて尿が滞留することがあります。


上記よりもさらに重度の膀胱後屈は、雄犬において、しばしば会陰ヘルニアに伴って発生するものです。便秘と激しい努責によって、膀胱は上後方に強く屈折してヘルニア嚢を満たす。


膀胱頸はねじれて屈折しているが尿管からの尿の流入は止まらないので、膀胱はしだいに膨脹し、大きなヘルニア膨隆が生ずる。このような例では、疼痛、排尿の突然の停止、排尿の努力、元気喪失、後肢虚弱、時には嘔吐がおこる。


膨脹した膀胱に圧迫されて直腸、肛門、ヘルニア嚢にはうっ血、浮腫が生ずる。膀胱がねじれていない時は排尿が可能なため、膀胱内の尿量の多少によってヘルニアは拡大し、あるいは縮小します。


しかし、ねじれていることのほうが多く、この場合は尿毒症あるいは膀胱破裂を招く。

膀胱の腫瘍(neoplasms of the bladder)



膀胱の腫瘍はかならずしもまれではない。


牛では血尿症の原因の一つとして、膀胱粘膜の乳頭腫、線維腫、血管腫、移行上皮癌などがみられ、犬では良性のものとして乳頭腫、横紋筋腫、悪性のものとして転移細胞癌、扁平上皮癌などがみられます。


いずれも絨毛を形成するもので、ハナヤサイ状の、柔軟な出血しやすい粘膜の腫瘍です。


犬では移行細胞癌および扁平細胞癌が報告されています。


まれには膀胱筋の滑平筋腫、肉腫、線維腫が生じ、また粘膜の腺腫、結核性あるいは放線菌性の増殖を見ることもあります。

尿道の疾患(Diseases of the Urethra)



尿道の異常、奇形および腫瘍(abnormalities, malformation and tumors of the urethra)


先天性の尿道閉鎖atresia urethrae, 尿道上(下)裂、epispadia(hypospadia), 尿道憩室diverticulum urethraeなどが稀れにあることが知られています。


腫瘍は老牡犬に稀れにみられます。すなわち移行上皮癌、平滑筋腫、扁平上皮癌、悪性リンパ肉腫、および尿道下部に可移植性性器肉腫などがしられている。


いずれも尿道腔を閉塞することにより、排尿障害、血尿などがみられる。

尿道の外傷(injuries of the urethra)



特に犬などの小動物で陰茎骨os penisの骨折事故によるものが知られています。その他カテーテルの使用失宜 、打撲、咬傷、結石などから損傷をきたすことがある。


症状として頻尿、減尿、無尿、血尿の排尿異常があり、排尿時の疼痛、圧痛があり、尿道の拡張(結石と似た)、捻髪音が聞かれる。時に尿毒症の症状がみられる。


治療法:


原発の原因を除去、改善につとめる。

泌尿器系の手術(Surgery of the Urinary System)



腎摘出術nephrectomyは、犬において腎結石、腎腫瘍、腎の炎症性疾患、水腎症、腎外傷などを対象として行われる。特に腎結石のみを目的とする時は、腎結石摘出術nephrolithotomyを行い、腎を切開し、結石を摘出し、あとを縫合する。


牛などの大動物ではまれに実験的に行われることがあります。


尿道切開術urethrotomyは、尿道の結石を取り除くために行う。


雄犬の場合は、陰茎部を切開する場合と、会陰部を切開する場合とがあります。雄牛の場合は、会陰部、坐骨端部、陰嚢基部、あるいは包皮口と陰嚢の中間部のいずれかから尿道へアプローチする。


膀胱切開術cystotomyは、犬では結石、新生物の除去を目的として、また、しばしば診断的目的で行われる。牛では仰臥保定で正中もしくは正中の一側を陰茎を避けて切開、開腹して膀胱に到達する。