レープやカブ類は飼料として田畑に栽培されるものですが、最近これらの花穂による奇病が北陸、山陰地方の牛にかなり発生しています。
原因は不詳ですが、恐らく一種の花粉アレルギー性の疾患であろうと推定されています。花粉アレルギーは既に古く、アメリカなどで牧草によるものが屢々報告されていますが、本邦での被害は従来発表されていないものです。
最近新潟県下ならびに鳥取県下でのものは飼料カブやレープなどで4月下旬より5月上旬にかけて開花期特に満開期の花穂を給与すると発生し、中止すると軽いものは自然治癒します。
また花穂を除き茎葉のみ与えたものは発病しないことから花穂特に花粉と密接な関係があると思われます。
発症する給与量は花穂と茎葉を混ぜて30~45kg位で、これは花穂の量に凡そ一致します。
症状
発症は給与量にもよりますが、早いものは翌日、遅いものは1週間前後で平均3~4日です。
軽度のものは眼結膜の充血および流涙がありますが、給与を中止すると自然に治癒します。さらに咳嗽、呼吸速迫し要力呼吸を示し、肺胞音の粗厲など(肺充血)を示し、また第一胃の蠕動、反芻なく、鼓脹を見、悪臭のある水様乃至軟便を排泄します。
但し何れの例も殆ど無熱の状態であることが特徴です。
療法
全く対症療法で下剤として硫酸マグネシウム(500g)などを投与し、鼓脹にはメンタ製剤、および稀塩酸、苦味チンキなどの内用です。
経過は良好で治療により4~5日位で全治するものが多い。