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橈骨神経麻痺(radial paralysis)


橈骨神経麻痺について



橈骨神経は腕神経叢の中部および後部より出てその外側を走り、大円筋後縁から上腕三頭筋長頭の前縁を通り、この長頭、内頭および前腕筋膜張筋、肘筋に枝を与える。


次いで上腕骨螺旋溝において上腕筋の上を下行、橈骨前面に出て前腕・腕関節・指関節の伸筋のすべてに枝を出す。


このうち、臨床上重要なのは橈骨神経上腕三頭筋枝の損傷です。

(ⅰ)橈骨神経麻痺の原因



本症は馬・牛および犬に発生します。


主な原因は橈骨神経の過度の伸張あるいは転倒・蹴揚・縛倒などの外力による損傷です。ことに橈骨神経上腕三頭筋枝には、倒馬時の縛定・手術台上の保定の際に損傷が発生することがあります。


これらのほかに麻痺性筋色素尿症および過労によるものもあるといわれます。

(ⅱ)症状



症状は麻痺の程度と広さによってさまざまです。


指伸筋に分布している分枝が冒されるときには症状は特徴的で、患畜をゆっくり平坦な地面を歩かせる場合には特別な異常を認めませんが、急がせたり地上に何か障害物があると、患肢を十分に伸ばすことができないため蹉跌したり転倒します。


上腕三頭筋枝の完全麻痺もまた特徴があって、上腕三頭筋の機能喪失のために患肢は負重の瞬間に肘関節が沈下し崩屈する。


とくに馬では肩を伸ばし、肘が下垂し、腕関節および指関節を屈曲させ、わずかに蹄尖を着地して駐立している。


無理に歩行させると前肢の負重を免ずるためにまず後肢を腹下に進める。


患肢を前進させようとしても歩幅は平常時の半分にもみたず、そのまま腕関節以下を屈曲し蹄尖または蹄前壁を接地する。


この際、もし人為的に患肢を前方に提出させ十分地面に着地できるようにし、かつ腕関節の直上で前腕を支えるならば歩幅は完全となり、また負重にもたえ得る。


慢性症になると上腕三頭筋、橈側手根伸筋の萎縮を認める。


犬においては、尺骨頭の異常な沈下、腕関節以下の屈曲などが認められます。

(ⅲ)予後



不全麻痺の場合は多くは数か月、時には1年の経過で回復しますが、長期間を経過しても軽快しないものは予後不良です。

(ⅳ)治療法



肩甲上神経麻痺の場合とほとんど同様で、局所のマッサージ、刺激剤の塗擦、電気療法などが用いられます。


患畜には平坦な地面上において毎日一定の運動を課すると、良結果をうることがあります。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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