ウサギの起原(家兎)

ウサギ
ウサギ



現在野生しているウサギにアナウサギ(Wild rabbit)と野兎(Hare)とがあります。家畜となっているウサギ(家兎)(Rabbit)は、アナウサギを家畜化してものです。


アナウサギはいまでも地中海沿岸地帯のスペイン、サルジニア、南イタリア、シシリー、ギリシャなどにいます。これは他の野生のものと異なり、群棲しています。


アナウサギ以外の野生のものが野兎で、これはヤマウサギともいわれ、いまだかつて家畜化されたことはありません。野兎は岩陰や木の洞などに巣を造るものが多く、ウサギ(家兎)のように穴にもぐって棲む習性がありません。


また、野兎の初生子(生まれたばかりの子)は生まれた時から全身被毛におおわれ、眼も開いていますが、ウサギ(家兎)のそれは産毛がはえているだけで、体は赤裸であり、眼は閉じていて生後約2週間しないと開かない。


染色体もウサギ(家兎)は44個ですが、野兎は48個といわれ、両者間に雑種はできない。


アナウサギが家畜化された年代は明らかではありませんが、他の家畜に比べれば、いくらか新しいらしい。野兎とウサギ(家兎)とを呼び始めたのは、ローマ時代(B.C. 750年以降)で、ローマ語で、ウサギ(家兎)をCuniclus、野兎をLepusと呼んだと言われます。


したがって、家畜化の年代があるいはこの頃かもしれないとされています。また、このCuniclusがイベリア(スペイン)語からでているので、ウサギの最初に家畜化されたところは、イベリア半島ではなかろうかとも推定されています。


いずれにしてもウサギはヨーロッパの南に発祥しましたが、それが広く拡がったのは15~16世紀ごろからです。ヨーロッパでも、最初は婦女子の狩猟用に庭に放飼いされる程度でしたが、後に防寒用の毛皮、肉用へと実用的に改良されました。


ウサギの肉に異臭があると俗にいわれるのは、屠殺の際に陰部の両側にある鼠蹊腺の臭いが移ったものです。これを完全に取り除けば肉そのものに異臭はない。


なおウサギには自己の糞を再喰(Coprophagy)する習性があります。これによりウサギは栄養分、、ことに蛋白質とビタミンB12をえているようです。

日本における歴史



本邦にも有史前から野兎はいたらしく、鳥取県で発掘された土偶に、ウサギの頭をかたどったものがあります。しかし本邦にはアナウサギはいない。したがって、本邦で家畜化が行われたはずはありません。


古くから兎肉が食用に供されていたことは確かで、その調理法を記した文献があります。徳川家は代々元旦の料理に兎肉を使ったということです。


延宝年間には兎肉の市がたったという。ウサギが諸外国から輸入された最初は、記録のはっきりしたものによると、19世紀であって、そう古いことではありません。


ただし、ウサギ飼養の最初を天寿年間(約600年前)大和国宇陀郡とするものもあり、また一説には、天文年間にオランダ人は養兎の宣伝をしたに始まるという。


ウサギは小型でもあり、扱いやすいから本邦の農村に副業的に入り、何回も流行しました。しかし、強健多産であるから流行するとすぐ生産物の生産過剰になり、暴落してまた衰微するということになり、これを繰り返した観があります。


また防寒用軍需もこのブームに拍車をかけたことがあります。現在でも毛皮、兎毛の輸出もあるので、長野、群馬など一部地方では、かなり農村で副業的に飼われています。

品種の分類法



用途により毛皮用種、兼用種、毛用種、愛玩用種などに分けられます。兼用種というのは、毛皮と肉との兼用種で、ふつうのウサギはこれに属します。


毛用種というのは、アンゴラ・ウサギのことで、現在では長毛のものはこれだけです。もちろんアンゴラ・ウサギの肉も食用に利用されています。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
スポンサーリンク
336×280
スポンサーリンク
336×280