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前立腺炎・前立腺肥大


前立腺炎(prostatitis)



犬では一部、前立腺肥大と関連のあるものも少なくない。通常、急性前立腺炎は尿道の上行性感染によるものが多いとされますが、時に血行性あるいは下行性の感染もあるとされます。


その他、結核などの特殊感染性前立腺炎もあります。


局所性の化膿性前立腺炎は膿瘍を形成することが多い。症状は急性の時は疼痛があり、便秘、背彎、体温、脈拍の上昇がみられ、時に食欲不振、嘔吐のあることもあります。


さまざまな微生物、白血球および血液が尿中、あるいは包皮口にみられる。


慢性前立腺炎は急性のものより少ないが、多くは急性症から慢性化します。症状ははっきりせず、腺も縮小し、疼痛も少ない。


化膿性前立腺炎(前立腺膿瘍)はごくまれにみられ、実質の諸所に大小さまざまの蓄膿がみられる。時に尿道に波及することがあり、著しい全身症状はなく、疼痛も少なく、体重の若干減少をみ、排便、排尿の異常がかなり特徴的です。


膀胱炎を伴い排尿の後期に血尿をみることもあります。


治療は急性前立腺炎の場合は有効な広域抗生物質の投与を長くつづけると、しばしば有効なことがあります。


去勢を行い、その形を縮小させるか、エストロジェン投与を推奨する人もある。


慢性症は急性症同様、抗生物質療法を気長につづけ、さらに頑固なものは、前立腺摘出を行う。化膿性前立腺炎に対しても保存的療法はなかなか効果が少なく、去勢を行うかエストローゲン投与を考えるか、至適の抗生物質を気長に続けるかです。

前立腺肥大(hyperplasia of the prostate)



一般に前立腺部の拡張と増殖したものをいい、特に5~6歳以上の犬の多くに、腺体、伝播部などが、徐々に増殖するものがみられる。


この状態を肥大hypertrophyあるいは腺腫adenomaなどと呼ぶのは正確でないとするものもあります。おそらく下垂体の性腺刺激ホルモンと睾丸のアンドロジェンとのバランスが失われることによって起ると考えられています。


多くは、前立腺は正常より拡大し、表面は、滑らかですが、不規則な結節状を呈して正常な外観を失う。嚢胞を形成することが多い。

症状



臨床的な症候はまちまちです。特別な症候が現れず、動物にまったく苦痛を与えないこともあります。症状のうち、もっとも著しいものは、前立腺が後方へ移動して、骨盤腔内にはいり、直腸を背方に圧迫するために便秘と裏急後重tenesmusがおこることです。


一般に前立腺の腫脹は腹腔側に著しいので、臨床的に分らないことが多い。


努責が持続する時は、直腸の拡大や会陰ヘルニアの発生を招くことがあります。時に尿道が圧迫され、また会陰ヘルニアの中に膀胱がまき込まれ、排尿障害をきたすことがあり、膀胱および腎臓の重篤な病変をまれにおこすことがあるとされる。


しかし、家畜では人のように頻発することはない。

治療法



良性の肥大の時は、その形を小さくし、機能の異常を少なくするように、まず注射療法を考慮する。便秘に対しては緩和な下剤、灌腸を行い、食餌療法を考える。


排尿障害には対症的にたとえばベサネコールbethanechol chloride(膀胱刺激剤)を投与する。また少量のエストロジェン(ジエチルスチルベストロール0.5~1.0mg)を投与する。


去勢は徐々に退縮をきたし副作用も少ない。


その他前立腺の直腸からのマッサージも一時的に腫脹を軽減する効がある。


手術的には吸引処置aspiration、被膜切開術capsulotomy、部分摘出手術partial prostatectomy、全摘出手術complete prostatectomyなどがありますが、一般に摘出手術は困難な手術と考えられています。