水鳥の健康管理と病気

水鳥の健康管理と病気
水鳥の健康管理と病気

水鳥は一般に丈夫で、病気にはなりません。


また日本のような湿度の高い国では雉類よりも水鳥の方が健康に育てやすいのです。スワンの類には百年を越える長寿を保つものもあるそうで、雁類では25~50年、ツクシガモで20年、一番小さいコガモでも10年余りは生きます。


然し、動物園で飼われた記録では100年を越えるものはなかったようでパウル・ジョンスガード氏の調査では次のような表の年齢になっています。

水鳥の長寿記録
●ナキハクチョウ 32.5年(飼育)
●ハクチョウ 19年(飼育)
●カササギ雁 26年(飼育)
●カナダ雁 33年(飼育)
●エジプト雁 25年(飼育)
●マガモ 20年(飼育)、16年(野生)
●オオホシハジロ 19年(飼育)
●ヨーロッパホシハジロ 20年(飼育)
●アメリカホシハジロ 16.5年(飼育)
●ホオジロガモ 17年(野生)

以上のごとく30年を越える物は飼育状態では稀です。


然し、水鳥とて生き物である以上、病気にはなりますし又、原因不明で突然死ぬ事もありますから、こういう場合は解剖により死因を究明しなければなりません。


簡単に外観で病気が発見できるのは、まず数日に亘って餌箱の餌が沢山食べ残しができた時です。水鳥がぐいぐい食い込み餌箱が空になる時は健康の証です。


羽毛に艶がなくなり、乱れた時も病気の兆候ですが、羽に光沢があり健康そうであっても痩せて来る場合も、病気で痩せているかどうか時々手に取って調べる必要があります。


手に取って肉付きを調べないと解りません。普通に良く起こる病気については第一にアスペルギルス症で、生後数週の幼鳥では死なす事が多く、水鳥が良くかかる病気です。


アスペルギルスは一種のカビで高温多湿の処で繁殖し、肺気のう、脳、気管支を犯し肺炎になって死にます。水鳥の飼育場の陸上の部分はいつも乾燥させておき、日光が良く当たるようにすることが本病予防の秘訣です。


濡れた敷藁も良く乾燥させておくことです。本病は、最初の間は異常が外から発見できずに手当てが遅れて死なせます。アスペルギルスフミガータス菌は空気中何処にでもいるばい菌ですが、肺気のうに付きますと深い息をして喘ぎますが異常呼吸音は出ません。


また脳が侵されれば、安定を失ってふらつきます。全体を通じてはじめは食欲の不振がおこり次第に痩せてきます。水鳥が原因不明ので死ぬ場合は本症のことが多いのです。


次にコクシジウム症ですが、此れはコクシジウム原虫が腸の粘膜に寄生し、栄養分を取るために起こる寄生虫病ですが、雛が罹りますと真赤な血便を出し急死しますが、成鳥ならば水様の下痢便を出し重症になると血便を出します。


土壌の中にいるコクシジウム原虫卵をついばむ事から感染するのですから、鴨には少なく雁の方に良く起こります。食欲は旺盛であるにかかわらず脚が弱くなり前記のような下痢便を出します。


治療にはサルファ剤を使用します。サルファ剤は速効性で原虫を殺しますが、鳥を捕まえて水に溶かした薬をスポイトで嘴から入れるとか、飲水に混ぜておくとか、マッシュに薬剤粉末を混ぜても良いですが、連用は副作用がありますから、4日間連用、4日間休止の方法をとります。配合マッシュには此の予防剤が添加されています。


また水鳥は脚に異常を起こし、両脚が弱くなって立てず、脚を体の両側に出し、胸で前進する場合、また全然脚は使えず羽ばたきして動く場合があります。雛の場合は飼料のたんぱく質含有量を減らして野菜を多給する事ですが、また藁を沢山入れた箱の中に一昼夜入れておくと治ることがあります。またビタミン、リン、カルシウムを多給するのもおすすめします。


幼鳥は適度に日よけをしなければ、殊に夏の強い太陽で日射病を起こし、突然死ぬことがあります。また水鳥は羽毛に防水力を失う病気があります。此の原因ははっきりしないのですが、前述の様に海ガモは2~3日、水から離すと防水力を失い再び水に入れると浮力を失い溺死すると言われており、また人間の管理下で孵化した雛で泳いだり水浴びの機会を与えないで育てた場合に防水力を失います。


水鳥でない仮母が孵化した雛は、水鳥の母が孵化した雛に比べた場合、後者の場合は生後直ぐ母鳥の持つ油が雛に移り、雛は防水力ができるのに前者ですと、仮母から油をもらう事ができません。


こういう状況下で育った幼鳥に水中に入る機会を与えないと、防水力を失います。然し、成鳥ならばその油腺から絶えず羽に充分の油を出している筈です。


小さい池に沢山のカモを入れて飼った場合とか、非常に汚れた水に鳥を入れていた場合に一時的に防水力を失う事は良く経験しますが、此れは清水に入れて羽の汚れを洗えば防水力は戻ってきます。


雁類では防水力を失う事は稀です。防水力を失っても其の回復まで陸上で生活させる事が可能です。また水鳥は眼病に罹ることがあります。此れは不潔な水中で飼った場合に起こります。


最初、眼が涙ぐみそれから眼の両端に小さい気泡が沢山出来て、遂に全眼をおおい、眼球付近の羽毛が固まり眼を閉じてしまいます。鳥は眼を盛んにこすって悪化させるのですが、此れは飼育者が発見次第すぐに分離して1日数回、抗生物質入りの目薬等を滴下すれば数日のうちに回復します。


水鳥はまたダニやシラミ等外部寄生虫と内部寄生虫に侵されます。駆虫薬で駆除できますが、完全に治療できない場合もあります。前者はメラチオンを使用して駆除します。


後者のうち、コクシジウムについては先に詳述しましたが、他に黒頭病、盲腸中、開嘴虫等がありそれぞれ駆虫剤が入手可能です。また、栄養から来る病気にはマンガンの万足から来る腱のゆるみ、カルシウム不足から生じる骨軟化症、ビタミンD3の不足では、くる病、ビタミンEが不足すると貧血(鉄分の不足)、肝臓の肥大(コリンの不足)、脚趾の曲がり(ビタミンB2の不足)等があります。


これ等は各々の不足分を飼料に混ぜるとかして補足すれば良いのです。また、水鳥は細菌およびウイルスに侵されます。アスペルギルスについては既述しましたが、家禽コレラ、サルモネラ、腸詰中毒、鴨ペスト等がありますがこれ等はワクチンの接種・投薬によって予防、治療できます。

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キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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