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動物体内における毒物の変化 ~ 消化管における毒物の変化

動物体内における毒物の変化 家畜中毒

 
 
毒物の生体に対する作用は種々ありますが、一般的区別にしたがって局所作用と遠達作用の2とする。局所作用とは皮膚、粘膜創面の発赤、腫脹、炎症、腐蝕および麻痺などを云い一般の刺戟毒はこれに属します。
 
 
而してこの刺戟および腐蝕作用は充血、炎症、水疱、化膿のごとく、血管における感作によるものや酸あるいは金属塩類による蛋白質の凝固とかアルカリによる組織蛋白の溶解とか生石灰あるいは硫酸による組織の脱水とか、クロールによる水素の奪取というように組織の壊滅に基く場合があります。
 
 
遠達作用は毒物が吸収せられて血行に入りその媒介によって各臓器に到達し組織細胞に対してその毒力を逞します。
 
 
例えば脳の神経節細胞、肝、腎および腺細胞がその感作を蒙り障碍を受けるようなものです。
 
 
毒の運命は一旦体内に入った毒物が生体外に排泄されるまでの機転であり毒の種類によって一様ではありません。すなわち硝石、ストリキニーネおよびコルヒチンのように化学的変化を受けず動物体を通過するものもあれば、青酸のように元来は無害の形のものが科学的変化によって有毒形に変化するものがあります。
 
 

消化管における毒物の変化

 
 
多数の有毒配糖体はまず口腔で唾液作用のために分解され例えば苦扁桃中の配糖体アミグダリンは咀嚼の際一部分青酸を生じ、芥子実中の配糖体ミロン酸加里も一部変じて芥子油となります。
 
 
しかしながらその作用の最も著しいものは胃液なみに胃内容物による変化で胃液塩酸によって青酸加里より遊離青酸を生成しあるいは、CNK+HCI=CNH+KCI
 
 
塩酸、乳酸は多数の不溶解性金属を可溶性金属とします。また胃内容物は一部は容積により一部はその成分によって毒物に変化を与えます。
 
 
前者の原因は胃の充満した場合で反芻獣に大なる関係があります。
 
 
すなわち、胃内の充実は毒物の作用を弱め空虚ならば盛です。これは一面胃の内容物は毒物を稀釈し吸収を妨げ、あるいは緩慢にするためです。
 
 
後者は内容成分によって毒物に化学的変化を与えるもので、タンニンはアルカロイドのようなものを無害の生成物とし、蛋白質は水銀、鉛、亜鉛、銅のような金属を不溶性の蛋白化合物に変じます。
 
 
これと反対に難溶性毒物を可溶性に変じ中毒を増強する場合があり例えば胃内の食塩は昇汞と合していわゆる食塩加昇汞の形で可溶性を増し、腸におけるアルカリ性の膵液および胆汁ならびに大腸によって生ずる発生機の水素のようなものも毒物の化学的変化に参与することが少なくありません。
 
 
小腸におけるアルカリ性腸液は難溶性の砒石を可溶性の亜砒酸カリウムに変じあるいは難溶性で毒力の少いサントニン酸ナトリウムおよびカリウムとします。
 
 
胆汁はヒマシ油、ハヅ油、ロカイ、ヤラッパのような油質および燐を乳化して可溶性とします。大腸に生ずる水素は硫黄を硫化水素に、燐を隣化水素に、砒素を砒化水素に変化します。
 
 
また、飼料中に存在する油脂類は腸管内で多数の毒物を可溶性とします。

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