膝関節は大腿骨と下腿骨(脛骨と腓骨)とのなす関節ですが、前面やや上方には膝蓋骨が強固な靭帯によって結着し、大腿脛関節femoro-tibial jointおよび大腿膝蓋関節(股膝蓋関節)femoro-patellar jointを形成します。
前者には、2個の関節半月meniscus tibialis et fibu-larisが介在します。多くの伸筋、屈筋、靭帯、関節包によってとりまかれ、後軀の支撑、後肢の運動に関与します。
部位的にも損傷を受けやすく、関節炎、関節周囲炎などを発すると、後肢の作用は著しく障害されます。なお、牛の膝関節外側に大腿二頭筋粘液嚢炎の腫脹が、また馬・牛の膝蓋関節の前面下方および内面に膝蓋下粘液嚢炎の腫脹が現れるので、類症鑑別が必要です。
原因
牛馬、犬に多く、挫傷、捻挫、刺創などにより発生し、また膝蓋骨脱臼に継発します。特に種雄牛では、雌牛に乗駕したあと降りる時に滑って関節を捻転することがあります。
また乳牛が後肢を排尿溝にはさまれて起立時に膝関節を痛めることがあります。膝関節周辺の化膿機転の波及によってもおきます。
まれに馬のパラチフス症、初生畜の膿毒敗血症、化膿性子宮炎の転移などにより、急性炎が発生することもあります。
急性症に継発あるいは徐々に発生しますが、牛のブルセラ症、結核に起因することがあります。
馬では、後肢の肢勢不良のため、膝関節に持続的な圧迫が加わって、変形性関節症を招来することがあります。
症状
急性症では漿液性あるいは化膿性の病変となります。関節包は拡張し(波動ある腫脹)、増温、疼痛が著しい。
重度の跛行(混跛)を呈し、歩幅の前方短縮が著明で蹄尖をひきずり、また全関節を屈曲し、わずかに蹄尖で着地します。
重症では駐立時に患肢の上下運動がみられます。種雄牛では交配不能に陥ります。
感染がおこれば症状が重く、化膿が進行して、敗血症をひきおこし、死の転帰をとることがあります。慢性症では、一般に症状は軽いのですが、患部の触診を嫌い、歩巾の前方短縮があります。
関節軟腫(水腫)を後遺することがあります。
変形性関節症がおこると、飛節内腫試験が陽性となるので、飛節内腫との類症鑑別に留意します。骨瘤を触知することもあります。
すべて慢性に経過するものは、予後判定は慎重を必要とします。
治療法
急性症では、徹底した関節炎の治療を行います。化膿化と慢性化の予防に重点をおく。
慢性症には皮膚刺激剤の塗布あるいは焼烙を行います。
数か月の休養が必要で、その他、理学療法も行われています。

