球節部
打撲、衝突、転倒、蹉跌、墜落、蹴傷、交突、追突などによって挫創、挫傷が発生します。有刺鉄線による裂創、プラウによる切創、フォークによる刺創などもしばしばみられます。
馬が歩行中に、1肢の蹄および蹄鉄が、対側肢のどこかに衝突して生じた損傷を交突傷speedycutという。ふつうは蹄、蹄冠部から管部に至る間の肢の内面随所に発生します。
また馬、特に競走馬のように後肢の踏み込みの深いもの、あるいは体長の短いものでは、後肢の蹄または蹄鉄が同側前肢に衝突して、追突傷overreachを発症します。
前肢の蹄球、繋凹部、管部後面に発生しやすい。
症状
球節前面の挫傷では、しばしば伸腱下の粘液のう炎を併発し、腫脹、限局性の波動ある水瘤を形成し、長く残存することがあります(capped fetlock)。
外側および後側の挫傷では、往々、皮下出血をきたし、あるいは炎性浮腫を伴い、腫脹し、熱感、疼痛があります。
特に強い外力を受けた場合には、関節腔内に出血し、主に外側方へ膨隆し、重度の支跛を呈します。
挫創の場合には感染創となり、フレグモーネを継発し、関節周囲が腫脹することがあります。交突、追突に原因するものは、再三反復するために、皮膚が肥厚硬結し、角質化することがあります。
切創あるいは刺創では、皮膚のみならず深部組織をも損傷し、時には関節腔内におよび、化膿性関節炎を継発します。
治療法
休養安静が第一です。挫傷性のものは冷罨法を行い、創傷のあるものは冷罨法とともに消毒法を実施します。
交突、追突に原因するものは、装蹄削蹄に留意します。すべて不潔創として処置したほうがよい。
股関節部
股関節部は、転倒、滑走、衝突などの際に創傷、挫傷を生じやすく、時には損傷が深部に達して関節におよび、ついには関節炎を継発し、あるいは捻挫、脱臼、関節骨折などをおこします。
しかし厚い筋肉で被われているため、深部損傷の詳細については診断が困難なため、寛跛行として取り扱われる場合が少なくない。
また、大動物では起立不能におちいることもあります。
深部の異常として類症鑑別が必要なものは、膿瘍、転子粘液嚢炎、大腿骨あるいは寛骨などの骨折などです。
単純な創傷、挫傷では一般創傷療法に準じて処置します。深部の損傷については経過をよく観察し、特に跛行状態に注意し、小動物では、X線を応用して診断を確実にし、その結果にもとづいて治療法を決定します。
膝関節部
膝関節部は打撲、蹴傷、輪轢、激突、墜落などにより、損傷をうけやすく、挫傷、創傷(挫創、刺創など)をおこし、多くは関節周囲炎に移行し、時には穿孔して、急性化膿性関節炎を継発します。
また外傷性の膝蓋下粘液嚢炎、挫傷の反復による大腿二頭筋粘液嚢炎、強い外力により、損傷と同時に膝蓋骨骨折をおこすことがあります。
いずれの場合においても、程度の差はありますが、後肢の運動に障害をおよぼします。
飛節部
馬に多発しますが、他の動物にもみられます。
蹴傷、打撲、転倒、衝突によって、刺創、挫創、挫傷などがおこります。馬の野繋失宜による綱創、起立不能時の褥創も発生します。
症状
損傷の程度により、種々の跛行を呈します。
一般に外側に多く、関節周囲炎、飛節炎を継発しやすい。しかし、綱創は飛節前面に発生します。蹴傷、刺創では、損傷がしばしば深部に達し、特に関節腔内に達すれば、関節液の流出をみる。
負重困難になりやすく、また化膿性飛節炎に移行しやすい。
足屈腱腱鞘、伸腱腱鞘が損傷をうけて、急性の炎症を発し、腱鞘に沿った長楕円形の腫脹を生ずることがあります。また、しばしば感染し、重症に陥ることがあります。
また飛節後面の踵骨隆起部をはげしくぶつけて、飛端腫(皮下粘液嚢炎、馬)、飛節外側の外傷により、飛節外腫を生ずることがあります。
治療法
一般の創傷、挫傷の療法に準じて処置しますが、特に感染に対する治療法を厳に励行する必要があります。
綱創では、ややもすれば不良肉芽が発生するので、良性肉芽を促進しなければなりません。

