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乳房炎 ~ ミルクの検査(細胞数・細胞数に関連のある検査)

乳房炎 ~ ミルクの検査(細胞数・細胞数に関連のある検査) 乳房と乳頭の疾患

 
 

細胞数

 
 
ミルク中に存在する細胞は、アポクリン型の分泌型式をとる乳腺の腺胞および乳管に由来する上皮細胞と、血液から移行した白血球です。
 
 
ミルク1ml中のそれらの数を合計したものを、ふつう体細胞数somatic cell numberまたは単に細胞数cell numberといいます。
 
 
細胞数は、健康な乳房から得たミルクでも、泌乳期中の時期により、また手搾りか器械搾乳かによって、相違があります。
 
 
また、泌乳期の回を重ねるにつれて細胞数がふえるが、それは多核白血球(主として好中球)の増加によります。
 
 
初乳および乾乳期のミルク中の細胞数は著しく多い。薬物注入直後にも増加することがある。
 
 
乳房炎のミルク中には好中球を主とする白血球が著しく増加しますが、白血球数の推移は炎症の消長と比較的よく平行する。
 
 
正常なミルク中の白血球数は150,000/ml以下が大多数で、500,000/ml以上のものは乳房炎の可能性が強く、1,000,000/ml以上の時はほとんど間違いなく乳房炎です。
 
 
白血球の百分比をみると、正常なミルク中では、リンパ球もかなりの割合を占めるが、感染がおこると好中球が著明に増加する。
 
 
また比較的重症の慢性乳房炎の場合には、単球、プラズマ細胞、マクロファージ、線維芽細胞などが出現することがあり、病変が一時的に急性化すると、好中球が再び増加してくる。
 
 
ただし、前述のように、乳房炎でない場合でも、ミルク中の細胞数はさまざまの条件下で増加するから、細胞数のみで乳房炎を判定することは誤りです。
 
 
細胞数の計測には、一般に塗抹標本によるBreed法が用いられます。
 
 
近年は広域的な乳房炎防除対策上、細胞数の計測が重視され、多数のサンプルの処置に便利な電子式計測装置(たとえばCoulter counter)が広く使用されています。
 
 

細胞数に関連のある検査

 
 
カタラーゼ試験catalase test:
 
 
ミルク中のカタラーゼは大部分が白血球に由来するので、カタラーゼの消長は白血球数の変動と比較的よく一致する。カタラーゼの検出には、検乳5mlに6%H₂O₂液1mlを混和して、酸素泡の発生を観察する。
 
 
乳房炎のミルクではカタラーゼの含量がふえている。
 
 
測定には小さいびんが必要であり、また一定温度で3時間温める必要があるので、試験室で行う検査の一つです。バルクミルクの検査に適しています。
 
 
CMT法California Mastitis Test:
 
 
カルフォルニア大学のSchalm教授が考案した乳房炎のスクリーニングテストの一つで、ミルク中の細胞数の多少を間接的に現す検査法です。
 
 
前乳の試料に界面活性剤からなる診断液を等量に加えて静かに攪拌する。
 
 
はじめわずかに液が濃厚粘稠になるが、攪拌をつづけるとそれは5秒前後で消え、同時に細胞が凝集して液ゲル化する。
 
 
器を傾けて凝集の程度を観察し、-、±、+、++、+++、++++と6段階に区分する。+以上のミルクの大多数は正常の細胞数を超過している。
 
 
原法の診断液は、界面活性作用のあるアルキルアリルスルフォネートNa(高級脂肪酸、陰イオン洗剤)0.5%とNaOH1.5%を含むが、他の陰イオン洗剤も使用されている。
 
 
この試薬を加えると、白血球が破壊されて核のDNAが流出し、これが細胞を凝集させるから、細胞の多少に応じて凝集の程度が異なる。
 
 
またこの診断液にはBCPまたはBTBが加えてあるので、凝集反応と同時にミルクのpHの検査ができる。
 
 
CMT法は判定に習熟する必要がありますが、簡単な器具で実施でき、またすぐに結果がわかるため、牛の傍で行うのに便利で、本邦では、その変法(PLテスター使用)が広く応用されています。
 
 
乳房炎防除のため毎月1回は実施することが推奨されています。
 
 
同様のスクリーニングテストとして、診断液にアルカリ(1N NaOH)を使ってミルクのゲル化を調べるWhiteside法にも実用性がある。
 
 
また、界面活性剤を添加してゲル化したミルクの粘稠度を測って細胞数を推定する方法としてBMT法(Bravant Mastitis Test)およびWMT法(Wisconsin Mastitis Test)がある。
 
 
これらは特別の測定器具が必要なため、検査室において行われます。
 
 
結果が数字で表されるため客観性がありますが、精度はCMT法と変わらない。

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