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コリネバクテリウムによる乳房炎(infection with Corynebacterium pyogenes)

コリネバクテリウムによる乳房炎(infection with Corynebacterium pyogenes) 乳房と乳頭の疾患

 
 

コリネバクテリウムによる乳房炎

 
 
コリネバクテリウム・ピオゲネスCorynebacterium pyogenes(化膿桿菌)による乳房炎の発生は少ないが、いくつかの特徴的な性質をもっている。
 
 
病性は急性、化膿性です。
 
 
泌乳期以外の時期におこることが多い。
 
 
イギリスでは、このタイプの乳房炎が夏に発生するので、夏季乳房炎summer mastitisといわれ、未経産牛も冒される。
 
 
本邦の未経産牛乳房炎でもしばしばこの菌が検出されます。
 
 
アメリカの症例の発生は季節と関係がないといわれています。乳房、乳頭に損傷がある時は牛から牛へ伝播することがあります。
 
 
雨季に泥の中を歩き廻る牛に発生が多く、また夏季乳房炎では刺咬性のハエが媒介するといわれている。
 
 
この菌は健康牛の扁桃、生殖器に存在します。
 
 
外傷、病変部、他の菌の混在が誘因となって感染がおこります。夏季乳房炎でも減乳レンサ球菌が混合感染します。
 
 
発症は急性で、乳房は急激に腫脹し、著明な浮腫を伴います。
 
 
分泌物は、初め漿液化膿性ですが、2~3日で濃厚な膿性になり血液を含むことが多く、悪臭を発します。この悪臭は共存するMicrococcus indolicusの仕業です。
 
 
発熱、中毒血症などの全身症候が現れますが、それらは2~3日で軽快する。
 
 
しかし、乳房の変化はその後もかわらず、数週間~数か月にわたって持続し、泌乳が停止します。死亡する例もあります。
 
 
腺実質が壊死に陥り、膿瘍を形成することが珍しくない。また瘻管の形成は本症の特徴の一つです。肝、肺、脾、腎に転移巣ができることがあります。
 
 
この菌はペニシリンその他の抗生物質に感受性があるので、初期の例ではそれらによる長期の強力な治療が奏効する。しかし治療の開始が遅れた例では、単一の分房の発症ならば、乳頭を切除して排膿をはかって、食用に転売するのが良いとされています。
 
 
コリネバクテリウム・ボビスC.bovisは乳牛の皮膚と乳頭管からしばしば検出される菌で、正常のミルク中に存在することがあります。
 
 
まれに乳房内に感染して、臨床型乳房炎をおこすことがある。コリネバクテリウム・ウルセランスC.ulceransは皮膚に常在する菌で、稀れに臨床型乳房炎の原因になることがあります。

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