中枢性筋弛緩薬は筋の硬化(緊張亢進)を和らげる作用を持つが、健康動物に比較的大量を投与すると四肢筋の筋弛緩によって起立不能になる。
グアイフェネシン(guaifenesin, グアイアコール グリセリンエーテル glycerol guaiacolate)
●体内動態
馬に静注した時の消失速度が測定されていますが、雌雄差のある珍しい薬物で、血中消失半減期が雌で59.6±4.8分、雄で84.7±7.9分と測定されている。
●薬理作用
馬に静注すると四肢の筋緊張が弱まるために起立不能になって倒れる。
呼吸筋に対する影響は殆ど認められず、薬用量投与では呼吸抑制の危険が少ない。
臨床家の報告には筋弛緩と共に鎮静作用や鎮痛作用もあると書かれていますが、筋が弛緩して殆ど動けなくなった動物での鎮静・鎮痛作用をどのような方法で判定したかが記載されていない。
●臨床応用
倒馬薬として用いられている。
水溶液は不安定であるから用時に溶解する。
馬の用量は160mg/kg(iv)であり、5%水溶液での投与であるから1頭あたり1.6lになる。5%以上の濃度で投与すると溶血を起こす。
通常、麻酔前投与薬として用い、全身麻酔薬とかキシラジンと併用する。
ヒトや家畜に小用量で去痰作用を示すので、この目的の経口剤や注射剤がある。
メフェネシン(mephenesin),メトカルバモール(methocarbamol)
中枢性筋弛緩薬の代表的薬物。
投与によって中枢性の筋緊張低下が認められる。ストリキニーネその他の痙攣薬に強く拮抗する。末梢性の神経筋伝達や筋収縮には影響しない。
作用機序
麻酔猫で伸展反射のような単シナプス反射と屈筋反射のような多シナプス反射に対するメフェネシンの影響を調べると、多シナプス反射が強く抑制される。
したがって反射経路の介在ニューロンかそのシナプスに作用して反射を抑制すると解析されている。
この多シナプス反射抑制と中枢性筋弛緩作用との関連は不明確です。
おなじ系統の中枢性筋弛緩薬には多シナプス反射に影響しない薬物もある。
臨床応用
メフェネシンは作用時間が短いので用いられない。
臨床では同系の薬物で作用時間の長いメトカルバモールの経口剤・注射剤が汎用される。