1940年来、SCHRADER氏によつて研究されたもので、その目的は薬液を植物の根、茎葉から吸収または浸透させ、有効成分を植物全体に、行きわたらせて害虫を殺すためで、主としてアブラムシ、ダニ、カイガラムシのような吸液害虫に有効です。
毒性の強いのと持続期間が永いので、果樹や花弁に用います。
本剤に属するものは現在有機燐剤とフッ素化合物ですが、市販品は少ない。
有機燐剤としては次のものがあります。
ぺストックス 3
1946年SCHRADER氏によつて合成され、その後イギリスのPCL会社でPestox-3という名で製品化されました。
本邦では柑橘類に使用されています。
性状
有効成分は、(オクタメチルピロホスホルアミド:Octamethyl-pyrophosphoamid)となります。
純粋なものはほとんど無色、無臭の液体、沸点98°、m.p.20°、水に可溶で安定性が強い。
市販品は特臭のある褐色粘稠液体で、Octamethyl-pyrophosphoamid 55%とTriphosphoricacid pentadimethylamid 11%とを合わせて66%含んだもので紫赤色に着色してあります。
500~1000倍液を用います。
使用法
水18ℓに本剤22.5~18gの割合で入れ、800~1000倍液を用います。
同上の液を作り坪当たり10ℓ位の割で根の周囲の土壌に撒布します。
原液をフランネルなどの布に染み込ませて樹幹に巻き付け、ビニールで覆う。
薬液を撒布すると2日くらいで植物体内に吸収されて効果を発し、約4週間位持続します。
外国では柑橘のアカダニ駆除に用います。
毒性はマウス経口LD₅₀17.3mg/kg、モルモット22mg/kgで相当強い。
経皮中毒ではモルモットでLD₅₀ 7~13mg/kgです。