燐 Phosphorus P ~ 薬理作用・原因


燐の薬理作用



燐は新陳代謝に変調を来す毒物で且つ一種の心臓毒であつて神経や筋に対しては著しくない。また燐は大部分が元素P₄のままで害作用を呈し、小部分は酸化して無毒の亜燐酸に変じ、また一部は燐化水素となります。


局所殊に粘膜に働くと揮発性であることと、脂肪に溶解して細胞内に入り、その中毒死を起し次いで組織の壊死、炎症刺戟を招きます。


内用した場合は胆汁によつて容易に溶解し吸収され、そのままの形で呼気や尿中に排泄されます。したがって暗所で燐光を放つことがあります。


極少量の燐を連続内用させて同化作用を亢進し、栄養改善や骨疾患の治療に用いたことがありましたが、現在は行われない。

原因



毒物学上関係のあるものは主として黄燐で、ふつうは燐糊泥乃至燐丸として毒餌を作り家鼠や野兎退治のため住居、厩舎あるいは耕地に置き、偶発的かまたは悪意により中毒の機会を与える。


特に犬猫のような愛玩家畜は悪意の中毒を起し、屢々法律的問題化することがあり、この場合の根拠は全く獣医師の診断によつて定るものであるから慎重な態度が必要です。


その他家畜が燐蒸気を吸入して急性乃至慢性中毒を起す場合は極めて稀です。


現在のマッチは赤燐で無毒ですが、黄燐を使用したものは1本の含量凡そ5mgとすれば20本で犬を毒殺するに足る。黄燐の致死量と薬用量は次の通りです。

●馬・牛

致死量:0.5~2.0

薬用量:0.01~0.05


●羊・山羊

致死量:0.1~0.2


薬用量:0.002~0.005


●犬

致死量:0.05~0.1


薬用量:0.0005~0.002


●猫・鶏

致死量:0.01~0.03


薬用量:0.0005~0.001



燐中毒の多いものは犬、猫、豚、鶏で猫、犬は毒餌を食した鼠を捕食して被害を受けることがあります。

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キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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