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包茎および嵌頓包茎・包皮炎および亀頭炎


包茎および嵌頓包茎(phimosis and paraphimosis)



包皮口が異常に狭窄したものを包茎といい、反対に亀頭(犬)または陰茎が露出、腫脹して包皮口において絞約されたため、陰筒内に復帰できない状態を嵌頓包茎と呼びます。


いずれも犬、牛、馬にみられます。


包茎では陰茎の露出がさまたげられ、排尿に支障をきたし、包皮内で尿が分解して包皮炎を発する。犬では先天的なものもあります。


嵌頓包茎はRobertsによると種雄馬の去勢後に、雄牛の陰茎後引筋の切断後、脊椎の疾病ないし外傷後に発することがあるという。


犬では交尾の後に発するものがほとんどです。

包皮炎および亀頭炎(posthitis and balanitis)



包皮垢smegmaの堆積、分解が原因となって、馬の包皮および亀頭に慢性の炎症が発生することがあります。包皮垢は悪臭があり、凝脂状または痂皮状をなして包皮の内面または亀頭窩に堆積し、包皮の肥大、硬化、潰瘍、輪形成、隔壁形成、狭窄(包茎)をおこす。


亀頭窩の包皮垢が乾固すると(亀頭石Eichelstein, 包皮石preputial calculus)、尿道口を狭窄または閉鎖し、ひいては尿閉、膀胱炎、腎炎、時には膀胱破裂の原因となります。


包皮が硬化狭窄する時は陰茎を露出できないために陰筒内に放尿するようになります。堆積した包皮垢を除去し、消毒用石鹼液および消毒液で陰筒内をよく洗浄する。


狭窄、輪形成、隔壁形成の場合は包皮に楔状切開をほどこし、また隔壁を除去するが、時には包皮の環状切開を行う必要が生じます。


雄犬では包皮口から膿を排泄していることがめずらしくない。


これは人におけるような伝染性化膿性尿道炎に原因するのではなく、包皮の化膿性炎による包皮膿漏preputial blennorrheaであって、細菌検索を行うとブドウ球菌、Hemophilus、大腸菌、レンサ球菌などが分離されます。


時には亀頭球付近の粘膜に発生した濾胞性包皮炎follicular posthitisが原因となっていることもあります。


また包皮腔に穀粒、藁、小木片などの異物が入って炎症をおこしていることもある。


本症の頑固なものに対しては陰筒内の深部までていねいに洗浄し、異物を除去し、また必要に応じて化学療法を行う。しかし本症は再発することが少なくない。


牛では緑餌の多食による多尿または陰筒内に排泄された尿の滞留分解が原因となって慢性の包皮炎がおこることがあります。包皮の帯痛性腫脹および、または包皮垢の堆積によって包皮口が狭窄し(包茎)、排尿が困難になり、疝痛や膀胱破裂を招くことがあります。


ときには陰茎の壊死を伴った包皮の壊死性蜂窩織炎、包皮周囲の尿浸潤、さらに敗血症がおこる。牡牛ではトリコモナス感染の際に本症が生じやすい。


これに対しては包皮垢の除去、陰筒内の洗浄、狭窄した包皮の切開などの治療法を講ずる。


トリコモナス感染の場合には、硬膜外麻酔をほどこした後、牛を倒臥し陰茎を十分に露出させて、その表面を消毒薬でていねいに洗浄し、化学療法薬を含む軟膏を塗布し、陰筒内を十分に洗浄したのち陰茎を還納し、ルゴール液を陰筒内に灌注して、牛が起立するまで包皮口を縛っておく。


なお牛では包皮の皮膚またはその周縁の腹壁に化膿菌の感染によって膿瘍が発生して広く腫脹することがあります。切開手術および化学療法をほどこす。