フェノール誘導体(phenolic disinfectants) ~ 踏み込み消毒槽などの防疫用消毒薬として汎用される



元来この系の消毒薬はコールタールの分留によって得られた化合物であるために、コールタール消毒薬(coal tar disinfectants)とも呼ばれている。


フェノール自体は消毒薬として用いられなくなっていますが、その誘導体は現在でも有用な消毒薬が多い。

殺菌作用



フェノール誘導体の石炭酸係数は2~100であり、グラム陰性・陽性菌の両方に有効です。静菌濃度と殺菌濃度は近い。芽胞に対しては無効であり、殺ウイルス作用も弱い。


フェノールは細菌の細胞壁と細胞膜を傷害し、原形質内成分を遊出させて菌を殺滅します


フェノールは非解離型で作用する。したがって酸性であるほど効果が強くアルカリ性では効果が落ちる。しかし、フェノール誘導体では一般に酸性が強くなると分解されるために効果が落ちてくる。


このために、フェノール誘導体は中性付近だけで用いられる。

消毒薬としての利用



フェノール誘導体の殺菌力は強力とはいえないし、皮膚粘膜刺激性も強い。


しかし水溶液は長期安定であり、消毒力が有機物質や汚物で影響されにくく、耐性菌も発生しない。したがって、踏み込み消毒槽などの防疫用消毒薬として汎用されます。

クレゾール石鹸液(saponated cresol solution)



消毒薬として用いられるクレゾールはo-,m-,p-メチルフェノールの混合物です。クレゾールに植物油と水酸化カリウムを加えて鹸化し、水に溶解した液がクレゾール石鹸液です。


クレゾール石鹸液を水で実用濃度に希釈するとクレゾール水になります。


皮膚刺激性が弱いので手指の消毒に用いる。

オルソジクロルベンゼン(o-dichlorobenzene, o-ジクロロベンゼン)



フェノール誘導体ではないが、その性格からフェノール系消毒薬だと考えられています。この薬物の殺菌力は弱いが、鶏コクシジウムのオーシストと接触するとその感染力を弱めると主張されている。


このためクレゾールなどのフェノール系消毒薬と乳化剤を加えた配合剤がオルソ剤と称して養鶏業界に用いられています


オルソ剤は本邦の畜産界だけで用いられている医薬品です。

クロルフェノール(chlorphenols)



フェノールのo-かp-にアルキル基を導入すると殺菌力が強くなる。例えば、p-にアルミ基を入れるとPCが50~150(菌種によって異なる)になる。


フェノールのo-にクロールを入れるとPCが2~3になるが、o-とp-にCIと長鎖アルキルを入れた化合物のPCは100~700にもなり、一般にクロルフェノール類と呼ばれている。


PCの高い消毒薬を用いると実用濃度が低くなり、それだけ交換廃棄の時の環境基準をクリアし易くなる。

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